ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

アートを学び、購入する
現代アートセミナー

エンリッチ 山本現代 メイン

これまでギャラリー、オークション、アートフェアと「現代アートの選び方・買い方について」紹介をしてきた当企画。今回われわれは、ギャラリーを会場にして、作家、ギャラリスト、アートディーラーが協力した新しい形のイベントが開かれると聞き、さっそく参加してきました。

*2016年7月に好評いただいた回のアンコール掲載です。

白金にあるギャラリー「山本現代」にて現代アートのセミナーが開催さたのは、6月23日の木曜日。主催は投資のスペシャリストにして、当サイトのコラム「内藤忍のマネーCafe」でもおなじみの内藤忍氏と、アートディーラーの三井一弘氏。

こちらのイベントが単なるアートセミナーと異なるのは、会場の山本現代に所属するアーティスト今津景氏の作品が展示され、作家本人の作品解説を受けてその場で購入もできる点。難解な現代アートを解りやすく解説したセミナーでは、世界のアートマーケットの市場規模にはじまり、印象派以降のアートの歴史、歴史に残るアートの共通点、そしてアーティスト今津景氏の魅力まで、貴重な話が展開されていました。それでは、当日の様子をお届けしましょう。

世界でもっとも高額な取引価格は
なんと1点で3億ドル

エンリッチ 山本現代イベント1

当日の定員は15名という小規模の人数で開催されたエクスクルーシブなイベント。内藤氏は実物資産としての現代アートに注目しており、過去にも投資の視点からアートを学ぶイベントを開催しています。「会場に展示されている今津さんの作品のいくつかは販売をしています。これまで、日本人はアートを見るだけでしたが、これからはアートを購入する時代になると考えています」と内藤氏。

エンリッチ 山本現代イベント3

エンリッチ 山本現代イベント2

今回、アーティストとして参加の今津景氏は、戦争や紛争による破壊や略奪などで失われた美術品の画像をWeb上で集めて、デジタル処理を加えて再び絵画としてよみがえらせる作風で人気を博しています。

エンリッチ 山本現代イベント4

セミナーを担当する三井氏はイタリアルネサンスからフォンテーヌブロー派、モネ、ルノワールなどの印象派、ピカソ、マチス、ウォーホルから現代アートまで、幅広く取り扱う経験をもつアートディーラー。内藤氏とはワイン仲間とのことです。冒頭では、先日アート界を賑わしたZOZOTOWN前澤友作社長がバスキアの作品を62億円で落札したニュースに触れて、これまでに世界で取引された高額作品トップ3の紹介に入ります。

ポール・ゴーギャン『いつ結婚するの』
ポール・ゴーギャン『いつ結婚するの』

栄えある1位は2点あり。ポール・ゴーギャンが1892年に描いた『いつ結婚するの』。価格は3億ドル。そして、同額でもう1点は20世紀の抽象表現主義の画家、ウィレム・デ・クーニングの『インターチェンジ』という作品。

ポール・セザンヌ『カード遊びをする人々』
ポール・セザンヌ『カード遊びをする人々』

3位は近代絵画の父といわれるポール・セザンヌの『カード遊びをする人々』の2.5億ドル。さらに、三井氏によると、現在1億ドル以上で取引された作品は世界に21点あり、今後1億ドルを超えるであろう作品を含めると、なんと公にされている作品だけでも80点あるというのです。

これ程まで作品が高額になる理由として、これら作品の作者はほぼすべて故人である事があげられます。作品の供給が絶たれている上、一度美術館に作品が収蔵されると再びマーケットに出ることはほとんどありません。さらに新興国の富裕層は増加しているため、アートの価格は増加傾向にあるというのです。

オールドマスターと呼ばれる巨匠たちの作品は慢性的な品薄状態にあるそうで、その結果、現代アートへの関心が高まり、現在、世界のアートマーケットの規模は7~8兆円にまで膨らんでいるそうです。音楽市場が1.9兆円と考えると非常に大きいマーケットです。

エンリッチ編集部

Return Top