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Vol.3 現代アートをカテゴライズ 平面編 1/3

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アートディーラー/解説者として知られる、三井一弘氏による本連載。今回からは、アートをカテゴライズし、「買う視点」から考察してみよう。ーー

アートの種類は大きく「平面」「立体」「その他」にわけられる

前回までのお話で、現代アートには絵画や彫刻、インスタレーションなど様々なジャンルが存在し、それぞれで人気の作家がいて、付加価値の高い作品があるとわかりました。

しかしながら、「いざ買いたい」という段階で、「何から選べばいいのかわからない」というのは、こと初心者にはよくありそうです。そこで今回からは、アートのジャンルごとに特徴や付加価値について、細かく解説していきましょう。

まず、アートの種類をカテゴライズすると、以下の3つになります。

・平面(二次元):絵画(油彩・水彩)、デッサン、版画、写真など
・立体(三次元):彫刻、オブジェ、インスタレーションなど
・その他:映像、VR、パフォーマンスなど

これらのなかで、もっとも作家の数・流通量が多いのは「平面」です。アート全体を見渡すと、現時点で1億ドル以上の価格がつく作品は100点ありますが、そのうち98点が平面で、残り2点はスイス出身の彫刻家として知られる、アルベルト・ジャコメッティの作品。アートの世界では平面の作品が圧倒的多数を占めるのです。

おそらく、平面は壁があると手軽に飾れるという利点があり、過去の歴史をひも解いても油彩をはじめとする絵画は歴史が深く、いうなればメインストリーム。作家側の視点に立つとアートとして取り掛かりやすく、買い手からしても「アート=絵画」と思い浮かべる人も多いでしょう。需給のボリュームが多いのも頷ける話です。

対して立体は3次元の作品で細部にわたるまでの作りこみが難しく、作品を形にするには高い精神性やパワーが求められます。(モディリアーニは体が弱いことから彫刻家になることを断念している)そういった点で、平面に比べると作家の数が少なく、場所を取ることからも流通量は平面に比べて少ないのだと思います。

エンリッチ編集部

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