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The Style Concierge

499台 フェラーリの生産台数が中途半端なワケ

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フェラーリのトップであるセルジオ・マルキオンネは、先日、インタビューに応えて、フェラーリもSUVを発表する準備をしているという趣旨の発言をした。それまでのSUVに対する否定的な見解のトーンが少し変化してきたようだ。しかし、フェラーリがSUVの開発を行っているということは公然の秘密でもあり、もしSUVの市販化企画がGOとなれば、ごく短期間で発表することも可能であろう。そもそもフェラーリにはシューティング・ブレークというカテゴリーでリリースされた、フェラーリ・フォーをその源とするルッソ・シリーズが既に存在している。

*2018年に好評いただいた回のアンコール掲載です

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これらAWDのコンポーネンツが揃っている訳であるから、それをベースにトールボディを載せればいい訳だ。

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このフェラーリ・フォーの開発時にも、イタルデザイン・ジウジアーロによる比較的背の高いプロトタイプも制作されている。彼らはSUVを出したいのは山々だが、それによってフェラーリが育ててきた、(乱暴に言うなら)なんの役に立たないスポーティなだけのスポーツカーというブランドが傷ついてしまうことを恐れているだけなのだ。この“何の役にも立たない~”というのは、決して貶しているのではなく、逆にフェラーリにとって最大限の称賛なのである。

つまり、フェラーリは実用性というワードとは対極にあるモノとして存在しなければならない。だから、そんなフェラーリにとってSUVとは実用性を表現する象徴のようなものであり、危うい踏み絵なのだ。荷物も積めて、ゆったりとしたキャビンを持ち、トールボディで乗り降り楽々・・・。その世界はレクサスやポルシェに任せておけばいい、というのがフェラーリのスタンスだ。

しかし昨年末に同じモデナのコンペティターであるランボルギーニが、ついに先手をきってSUVのウルスを発表した。このウルスによってランボルギーニはフェラーリの年間生産台数8000台を追い上げようとしている。いくらフェラーリといえども、このようなライバルの動きは無視できない。今回はそんなフェラーリならではの“やせ我慢”についてのお話だ。

エンリッチ編集部

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