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ファンクショナルトレーニング 体が持つ機能を戻す・高める 

トレーニングというと一般的に、ジムや自宅で特定の部位を鍛える筋力トレーニングやランニングマシンを使った有酸素運動を思い浮かべるのでは? ビジネスエリートやエグゼクティブは自己管理に敏感なので、エクササイズを習慣にしているエンリッチ読者は多いに違いない。あるいは、ゴルフやフットサル、マラソン、トライアスロンにボルダリングといったスポーツを趣味とする人も多いだろう。

ただし、やみくもに高負荷のトレーニングを続けるだけでは関節などを痛めることも。長く取り組んできた人こそ、今後も継続するため、内容を見直すタイミングかもしれない。スポーツに関しても、パフォーマンスの向上はいくつになっても目指したい所だ。もっと楽しみつくすための手立てを講じて、これからも長く続けたい。

そこで注目したいのが「ファンクショナルトレーニング」。というのも、これらのニーズを満たしてくれそうなのだ。その理由をプロ格闘家などのパーソナルトレーニングを指導する、TRX Training JAPAN株式会社オフィシャルマスターインストラクターの長嶺まこと氏に聞いてみた。

身体を使いやすく、動かしやすくするトレーニング

――長嶺さんはファンクショナルトレーニングのスペシャリストだと聞いています。

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TRX Training JAPAN株式会社 オフィシャルマスターインストラクター 長嶺まこと氏

長嶺 私自身はパーソナルトレーナーとして格闘技やバレーボールなどアスリートのトレーニングやパフォーマンスアップ、ダイエットを指導しています。また、米国生まれの「TRX®」と呼ばれる、専用のサスペンションなどを使い身体の動きや姿勢づくりなどを改善するトレーニングシステムのオフィシャルマスターインストラクターも務めています。TRX®では多様なプログラムを提供していて、その多くがファンクショナルトレーニングに含まれます。

――そもそも、ファンクショナルトレーニングとは。

長嶺 直訳すると「機能的な」トレーニングで、具体的には身体を使いやすく、動かしやすくする「身体機能を高めるためのトレーニング」を指します。もともとはトップアスリートやモデルなどを中心に欧米で盛り上がり、日本では約10年前に大手フィットネスジムが器具などを導入し、いまはパーソナルジムで指導したり、自宅でもできるマシン・ツールもあるようです。海外と同じくアスリートやセレブ、エグゼクティブから人気に火が付き、日常生活に取り入れるケースが目立ちます。

最大のポイントは、通常の筋力トレーニングは特定の筋肉に負荷をかけ強化を図りますが、ファンクショナルトレーニングはそうではないこと。筋力もある程度鍛えられますが、最大の目的は「5大原則」に沿って、「動き」をトレーニングする事です。

――「5大原則」とは何ですか.

長嶺 それは以下の通りです。

1. 重力の利用
2. 共同と分離
3. キネティックチェーン
4. 3面運動
5. 力の吸収と発揮

重力にフォーカスするのは大事なことです。スポーツに限らず人が地球上に生活するのに必ず重力がかかり、立ち上がったり歩いたり走るには、それに抵抗しないといけません。よって、ファンクショナルトレーニングでは重力に耐え人間らしく活動できる身体づくりを目指します。

また、人の身体には多くの関節があり、それぞれに役割があります。例えば腰椎や骨盤は大きく可動できませんが、胸椎や股関節はその逆です。機能的な動作をするには各関節を分離させたり共同させることが大切で、トレーニングではこういった点も改善します。

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キネティックチェーンとは、身体のつながりを意識することです。ランニングであれば両脚だけではなくお尻や体幹へ力が伝わり前進するなど、人の動作は1つの筋肉ではなく多くの筋肉が連鎖しています。ベンチプレスも本来なら全身ですると効率よくできますが、あえて胸だけに負荷をかけて部位を集中的に鍛えるわけです。他方、ファンクショナルトレーニングでは1つの筋肉というより、複数の筋肉の連鎖を使い、効率的な身体の使い方を学びます。

3面運動も重要なポイントです。歩く、走るといった基本的な動作の中でも人は前後左右に体重を移動していて、背中を中心にねじれの動作も行っています。人の動作の多くは3面運動によるもので、ファンクショナルトレーニングでもこれを考慮しています。

力の吸収と発揮ですが、例えば高く飛ぶには無意識に大きくしゃがみますが、まさにこのこと。大きな力を発揮するには、その方向と反対に力を溜め(吸収)ないといけません。ファンクショナルトレーニングでも機能的な動きをするため、これらの動きに注目します。

エンリッチ編集部

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