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藤田田

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藤田田氏は、日本マクドナルドの創業者であり、お金の哲学を説く実業家としても知られていた。藤田氏の著作はベストセラーとなり、今でも多くの人にバイブル視されている。藤田氏の成功哲学は極めてシンプルだ。簡単にいってしまうと「信頼関係が重要だ」という一言に尽きる。

だが藤田氏の言うところの信頼関係というのは、ただ仲が良いという意味ではない。仲が良いことと信用できることはまったく別の話であり、両者の違いを理解することが重要である。

他人の時間を奪うことは犯罪だ

藤田氏におけるビジネスの原点は、東京大学在学中に行っていた、GHQ(連合国軍総司令部)の通訳アルバイトに求めることができる。藤田氏は通訳をしながら、GHQに勤務する米国人たちの人間関係をつぶさに観察。その中で、ユダヤ系米国人たちの徹底した合理主義に感銘を受けたという。

米国はキリスト教の国であり、プロテスタントやカトリックが多い。ユダヤ系はどうしてもマイノリティとなってしまうため、時には差別の対象となってきた。だが藤田氏によると、ユダヤ系の兵士達は、階級が低い人でも、皆、よい車に乗り、上官たちよりもずっといい暮らしをしていたそうである。

彼等は、月末になるとお金が足りなくなる浪費家の兵士たちにお金を貸し出し、かなりの金額を稼いでいたという。いってみれば、軍隊内にある個人営業の消費者金融である。お金を借りた兵士たちは、影では悪口を言っていたそうだが、お金を借りている手前、あまり強く出られない。

藤田氏は彼等を見て、これがビジネスの原点だと感じ、彼等をより詳細に観察していった。一連の人間観察を通じて、藤田氏のビジネスに対する基本感が形作られたといってよい。藤田氏が特に重要視したのが、時間の概念と契約の概念である。

時間の重要性は、藤田氏以外の成功者もよく語っていることだが、ビジネスの世界において遅刻することは絶対に許されない行為とされている。なぜなら、遅刻して相手を待たせてしまうと、相手はその間に何もできず、その時間を浪費してしまうからである。

しかも、失った時間というのは、後になって取り返すことは不可能である。つまり、遅刻するという行為は、相手からその時間と、その時間に稼ぐことができたお金を奪っていることに等しい。この感覚を持てるかどうかは、お金持ちになれるかどうかの最初の分岐点である。

加谷珪一

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