ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

いいネクタイの選び方

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“ネクタイ離れ”といわれて久しい。ビジネスの場におけるカジュアル化が進み、また年々暑くなっていく夏のせいもあり、ネクタイをしない人が増えている。一説によると、ネクタイの売上は20年前の6割方にまで落ち込んでいるという。

*2019年に好評いただいた回のアンコール掲載です

しかし、ネクタイは男の装いの要(かなめ)である。ネクタイを締めることによってスーツスタイルは完成する。相手への尊敬を表すことができ、相手からは信頼がおける人物とみなされる。この事実に変わりはない。

そこで今回は、ネクタイ業界に30年間携わるベテラン、ネクタイのことなら何でも知っているコンシェルジュにご登場頂き、ネクタイの効用と、正しい選び方&締め方、コーディネイトの方法を教わった。“男性そのもの”であるネクタイを、いま一度見直したい。

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今回の Concierge
並木孝之さん(三越伊勢丹 アイネックス 商品戦略部 部長)

1970年、東京都出身。日本ネクタイ界の草分け、フェアファクス コレクティブを経て、ネクタイ業界のトップ企業、アイネックスに入社。現在同社の、商品企画を一任されている。オリジナルのブランドを展開する他、多くのセレクトショップのOEMも手掛けている。ネクタイの色柄・素材・構造に精通するのはもちろん、自らの着こなしも巧みで、ファッショニスタとしても知られている。


Q

「ネクタイ離れと言われて久しいですが、今でも男の装いにおいて、ネクタイが大切なのはなぜですか?」


A

「男の象徴、絶対の信頼感があるからです」

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——いまネクタイの売り上げはどうですか?

「正直、2019年の春夏はよくなかったですね。クールビズ以来、最悪といってもいいでしょう。夏がこれだけ暑いと、まぁ致し方ない部分があるのかもしれません。しかし丸の内などで観察すると、やはり一流と言われる企業で働いている方や経営者の方は、きちっとタイドアップをされています。ある程度以上の社会的地位のある方には、ネクタイは相変わらず必須アイテムなのです。安倍首相もされていますしね(笑)」

——男がネクタイを締める意味は、どこにあるのでしょうか?

「ネクタイは男のど真ん中にある、男の象徴のような存在です。ネクタイをすることによって、相手に絶対の信頼感を与えることができます。ネクタイをすれば、誰でもきちんと見えるという、伝統の力を持っているのです。これがないと、ひどくだらしなく見えます。またメンズ・ファッションにおいて、一番色柄が使える場所でもある。自分自身を表現できるアイテムなのです」

——並木さんも、いつもネクタイをされていますか?

「暑かろうが寒かろうが、ビジネスの場では、ネクタイはプラスの効用しかありません。私自身も、お客様にお会いするときは、必ず着用します。男はビジネスにおいて、3つの“首”を締めることが大切だと思っています。首をネクタイで、手首をいい時計で、足首をソックスで、という具合です」


Q

「今シーズン、流行っているネクタイは、どんなものですか?」


A

「黒ベースに注目です」

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黒ベースのタイ。各¥11,000(ロバート・フレイザー/アイネックスTEL:03-5728-1190)

——最近、流行しているネクタイを教えて下さい。

「黒をベースにしたネクタイが、がぜん注目されています。といってもフォーマルやモードに使われる真っ黒なものではなく、あくまでも“黒ベース”というところがポイントです。今までのネクタイは、圧倒的に紺ベースが多かったのですが、それをそのまま黒に置き換えた、といえばわかりやすいでしょうか? ストライプや小紋など、他の要素は紺ベースと同じです」

——着こなしはどうすればいいのでしょう?

「紺ベースのネクタイと、同じように合わせればいいのです。ネイビーと同じ感覚で締められるので、コーディネイトは簡単です。締めると服に馴染んで、ぱっと見、黒とわからないようになります。しかしどこか新鮮なのです。このトレンドはこの秋冬だけでなく、2020年の春夏も続くと思います」

松尾健太郎

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