ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

ビジネスや投資で勝ち続ける人と負け続ける人がハッキリ分かれる

エンリッチkaya1912

ビジネスや投資の世界では、成功者がさらに成功し、うまくいかない人はずっと成果を出せないという光景がよく見られる。ある程度の成功を手にすると条件が有利になってくるので、成功者ほど有利になるというのはその通りなのだが、それだけでは説明が付かない部分も多い。成功と失敗を分けるカギはどこにあるのだろうか。

すべては他人を理解する能力にかかっている

多くの人がビジネスや投資で成功したいと思っているが、実際にはなかなか思うようにいかない。学生時代まではとりあえず勉強という単純なゲームなので、知識を詰め込めばある程度の成果が得られるが、ビジネスの世界はそうはいかない。単純に知識のある人が勝てる世界ではないということは、多くの人が認識していることだろう。

こうしたことから、ビジネスや投資で成功するには、天賦の才が必要という価値観も根強く、「勝つ馬は最初から決まっている」と断言する人もいる。勝ち続ける人は、何をやってもうまくいき、ダメな人はなかなか成果がでないという現実を見ると、才能説にも説得力が出てくる。

しかしながら、成功した人を客観的に分析していくと、やはりいくつかの共通法則を見いだすことができる。成功か失敗かを分けるカギとなるのは、生まれ持った才能ではなく、ある種のスキルが密接に関係しているのだ。そのスキルとは「他人を理解する能力」である。

以前、本コラムでも取り上げたことがあるが、偉大な経済学者であるケインズは自著において美人投票という概念を紹介している。美人投票で勝つためには、自分が美人だと思う人に投票してはダメで、皆が美人と考える人に投票しなければならない(他人がどう考えるのかを考える)。株式投資も同様で、自分が有望と思う銘柄に投資するのではなく、皆が有望と思う銘柄に投資することこそが、投資で勝つための秘訣ということになる。

これはビジネスの世界にもそのまま当てはまる。

いくら自分では画期的なサービスだと思っていても、顧客がそれを望まなければ意味がない。セールスの現場で、やたらと自分を売り込んだり、自身の製品やサービスを声高にアピールしている人を見かけるが、たいていの場合、営業成績はよくない。製品やサービスを購入するのは顧客であり、顧客のことが理解でなければ、製品やサービスを売ることはできない。

これはまさに美人投票と同じであり、他人がどう考えているのかを理解することこそが、ビジネスや投資を成功させるカギということになる。だが困ったことに、大抵の人は自分のことが大好きで、基本的に自分のことしか考えない。他人に対しては好き嫌いの感情しかなく、相手を分析することすらしない。皆がわがままで自分のことばかり考えているわけだから、他人ことを少し考える人が有利になるのは当然の結果である。

加谷珪一

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