ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

デュアルライフのワークライフマネジメント

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東京とハワイのデュアルライフを始めて7年が経つ。思い起こせば7年前、企業を離れてフリーランスとなり、東京とまったく異なるハワイに住み始めた頃は、気持の整理も含めたワークライフマネジメントに苦労した。その後、思考錯誤を繰り返しつつ、今は自分なりのパターンを確立し、それにあわせたデュアルライフのTIPSみたいなものも出来てきたように思う。

エンリッチをお読みの方の中には、今後デュアルライフを検討されている方もいらっしゃるのではないだろうか。そこで今回はデュアルライフの実際というようなものを、仕事との両立という観点で紹介してみたい。

デュアルのパターンのつくりかた

一年のうち、いつ、どのくらいをハワイで過ごすか。私の場合、家族は主人ひとりなので、まず前年のうちに大体のスケジュールを主人と刷り合わせるのがステップ1である。

現在は押し並べて半年ずつとなっているが、そのように、ある程度日本にいる期間を定め、あとは仕事のスケジュールをそれに合わせて入れていくというのが、現在のパターンである。私はフリーランスで仕事をしているので、どのくらい仕事をするのか、どのくらいの収入を目指すのか、すべて自分次第だ。

ありがたいことに、現在日本にいる間は「出稼ぎ」と称するくらいお仕事をいただいているので、日本=アウトプット期間、ハワイ=インプット期間というメリハリが自然と生まれ、双方のデュアルライフをそれぞれ充実したものにできているのも、自分なりのいい形だと思っている。

日本でのセミナー講演
日本でのセミナー講演

ちなみに、私は日本での仕事からのみ収入を得ているが、ハワイで暮らすことを検討している方の中にはビジネスをハワイで興す、すなわちハワイで生活費を得ることを前提にしている人もおられるだろう。もちろんそれは不可能ではないが、ハワイにおいて外国人が起業するのは想像以上に難しいと考えていただいた方がいいと思う。本件についてはそれだけで本が一冊書けてしまうくらいのトピックなので、ここまでに留めておこうと思うが、私個人の意見としては、収入は日本で得て、ハワイでは消費するのみというのが、ハワイでの生活を楽しいものにするためにも良いのではないかと考えている。

ハワイではふたつの時間感覚で過ごす

さて、先ほどハワイはインプット期間だとお話したが、仕事をまったくしないわけではない。本コラムのような執筆系の仕事は場所に限らずすることができるし、日本のお客様とのメールのやりとりは毎日である。しかも、ハワイと日本はワーキングアワーが重なっているので(日本の午前中がハワイの前日の午後である)、電話会議などは日常茶飯事だ。したがって、ハワイにいるときも仕事モードを完全にオフにすることはできないのだが、ハワイという土地柄ゆえ、放っておくと完全オフモードになってしまい、仕事をしなければならないときのエンジンのかけ直しには大変な労力がいる(笑)。そんな事態を避けるためにも行っているのが、ハワイにいるときも日本の時間感覚を忘れないということである。

日本とスカイプで会議
日本とスカイプで会議

そこで有効なのが、PCの時計は日本時間に合わせておくこと。メールは常にチェックしているし、SNSなどもPCで使うことが多いので、結果的に一日の中でPCの画面を見ている時間はかなり長い。つまりPCの時計を日本時間に合わせておけば、自然と頭の中にふたつの時間が流れることになり、それはつまり、仕事モードをアイドリングさせたまま、ハワイを過ごすことに繋がるのである。細かいTIPになるが、メールソフトのスケジュール機能を使って、表示される時間を日本とハワイ両方を表示させておくのも、ふたつの時間感覚を持つために役にたつ。うっかり電話会議の時間を間違えないためにも有効な手段だ。

ハワイでは大きなタイムラインで生活する

また、日本を離れているからこそ、時間やスケジュールに追われることなくじっくりと考えたりアイデアをまとめたりすることが出来るのは、ハワイにいることの仕事上の利点だ。

そんな時間を確保するためにやっているのが、大きなタイムラインを一日の中でつくることである。私の場合、ハワイにいるときはトライアスロンやマラソンのトレーニングも仕事と同じくらい生活の軸となるので、午前中はトレーニングに充て、その代わり、午後は仕事というのがハワイでの基本の時間割となっている。
むしろ、日本に戻った後に初めてのコンテンツで講演や研修の仕事が待っているときなどは、まとまって午後に時間がとれるハワイにいるときに、じっくりとコンテンツやスピーチ内容を練ってしまった方がよい。そして、ハワイ滞在後半戦はその先に控えている日本の仕事を常に意識しながら過ごすようになる。このあたりからは自然と、日本とハワイ、二つの時間軸で生活するようになっていく。

田島氏
トレーニング直前の隙間時間にメールチェック

ちなみに余談ではあるが、ハワイから戻った後すぐに日本で仕事が控えている場合は、エアラインの選択にも留意が必要だ。海外、特に米国のエアラインは経験上、ディレイやキャンセルが多く、戻った翌日などに仕事のスケジュールを入れている場合、致命的な痛手となる。したがって、我が家はめったなことではキャンセルが出ない、国内のエアラインで移動することにしている。さらに早い時間のフライトにしておけば、ハワイは一日に複数便フライトがあるので、万が一キャンセルになった場合でも夕方のフライトに振り替えてもらえる可能性がある。デュアルライフをしていることで仕事に支障を出さないためにも、双方間の移動には細心の注意を払いたい。

一方、日本での出稼ぎ(笑)を無事に終えて、空港のラウンジでボーディングを待ちながらビールを飲むひとときが、今の私にとって、スイッチ切り替えの至福の時間。今年も12月にハワイに戻るときの空港での一杯を楽しみに、この秋の仕事をしっかりやり遂げようと心に誓う今日この頃なのである。


田島弓子(たじまゆみこ)
2007年にマイクロソフト株式会社を退職しキャリアアドバイザーとして独立後、東京とハワイのデュアルライフを始める。東京滞在中はブラマンテ株式会社 代表取締役 田島弓子としてキャリアや社員育成に関する講演や研修、ビジネス書や専門誌等への執筆など仕事中心の生活を送り、ハワイ滞在中は趣味のトライアスロンのトレーニングを中心とした生活を送ること現在7年目。世界各国で行われるトライアスロンのレース遠征を兼ねた旅行先での世界遺産巡りとグルメが目下最大の楽しみ。

田島弓子

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