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ワイキキ再考

田島弓子|連載 ワイキキ再考

ハワイイコール、オアフ島、そしてオアフ島イコール、ワイキキ。

ハワイに来てワイキキを訪れないという人はほぼいないだろう。ハワイのイメージといえば、ワイキキビーチやダイヤモンド・ヘッド、カラカウア通りなど、すべてワイキキとその周辺にあるものがシンボル的に使われる。

そのせいだろうか、ハワイのリピーターになればなるほどワイキキだけでは飽き足らず、観光客の少ない島の北部や東部に足を延ばしたり、ハワイ島やマウイ島など他の島にも訪れるようになる。もはやハワイは個人旅行で行くのが主流、人とは違う自分なりのハワイのお気に入りを見つけて、グルメやアクティビティを楽しまれる方が増えている。

せっかくのハワイ、積極的にワイキキを出て観光客の少ないビーチに行ったり、美味しいと評判の穴場レストランを訪ねるのは本当に楽しい。しかし、今回は敢えてワイキキに再注目してみたい。なぜならワイキキという場所は昔から特別な場所であり、そして私たちは昔と変わることなく、ワイキキを通じてハワイの素晴らしさを享受していると思うからである。

ワイキキはかつてハワイ王族の避暑地だった

ホノルル国際空港に到着し、飛行機から外に出た瞬間感じる癒しの空気。ハワイが愛される一番の理由は、実はこの空気にあるのではないだろうか。遠い昔(なんと西暦300年くらいからと言われている)、南太平洋から磁石も機械の動力もない時代に、太平洋のどまんなかにあるハワイ諸島に人々がたどり着いたのは、実はこの土地の持つエネルギーに引き寄せられたからではないかと、ハワイに着いてこの空気を思い切り吸い込む度に思うことだ。
そのくらいこの島は、癒しの空気と強いエネルギーに満ちている。

そしてそれは空港を出て、ワイキキに着いても変わることはない。チェックインを済ませ、カラカウア通りをそぞろ歩いたり、ワイキキビーチで打ち寄せる波に足を浸したりするときに感じる気持のよさ、私自身、世界のさまざまなリゾート地を訪れたが、ワイキキで感じる「気のよさ」はやはりここだけのものだ。

それは単なる旅の高揚感から来るものなのだろうか。そうではない、実はワイキキという土地はかつてハワイ王族の避暑地として選ばれたくらい特別な土地だったのである。

ワイキキの後ろに位置するマノアの山から吹く風によって涼しく住みやすい場所であること、そしてワイキキというハワイ語は「水が湧き出る」という意味なのだが、ワイキキエリアのビーチは山から流れてきた真水の流れ込むヒーリングビーチであり(ハレクラニホテル前のビーチのあたりに湧き出ている)、それらが月日を経ても変わることなく、私たちに癒しを提供してくれているんだなぁと、ワイキキに来るたびに思うのである。

田島弓子

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