資産デザイン研究所代表の内藤忍氏が、資産形成にまつわる悩みや質問に答える、本シリーズ。今回のテーマは「ローンの借入期間」について。どのように捉えると、有効活用につながるのでしょうか。ーーー
ローンの借入期間はなるべく長い方が良い?
Q(質問者):内藤さんはローンを借りて投資を行う場合、なるべく長く借りることを薦めているようですが、借入期間が長いと支払利息も多くなり、有利とは言えないと思います。なぜ長い方が良いのでしょうか。
A(内藤氏):私自身、国内外の不動産や太陽光発電投資などで、銀行から複数の融資を受けていますが、すべてのローンで借入期間をできる限り長くしています。それには3つの理由があります。
1つは、期間を長くすることで毎月の返済額を小さくできるからです。借入の返済は元利均等返済になりますが、ローン期間が30年を超えてくると5%以下の利回りの物件でも、毎月のキャッシュフローがプラスになることがほとんどです。
持ち出しになってしまうよりキャッシュフローがプラスになった方が、空室などの将来の環境変化に柔軟に対応できます。
2つ目は、借入期間は短くすることはできても長くすることはできないからです。繰り上げ返済をすると毎月の返済金額が同じなら、借入期間を短くすることができます。しかし一旦借りたお金の返済期間を逆に延長することはできません。長く借りておけば、短くするのは借り手の自由です。融資を受けてからの自由度を高めるという点で、最初は返済期間を長めに設定しておくと、その後のプランに柔軟性を持たせることができます。
3つ目は、金利差を享受できる期間を長くできるからです。5%の利回りの物件を2%で借りて購入すれば、3%の金利差が取れます。これが1年だけなら3%で終わりですが、10年の借入になれば10年間ずっと金利差が享受できます。ただし元本返済が進めば残高が減っていきますから、金利差からの収益も徐々に減っていきます。
長く借りればその分金利の支払いが多くなるというのはご指摘の通り正しいのですが、金利を支払ってそれ以上の収益が得られるのであれば、その期間は長い方がメリットを長期間受けられるということになります。
長く借りても安心できるためには、資産価値が落ちにくい立地の物件を選ぶ必要があります。収益が安定していれば、長い期間の借入でも精神的な負担をあまりかけずに不動産投資を続けることができるのです。