ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

2019年 新春特別編 4/4

資産デザイン研究所代表の内藤忍氏が、各界のプロフェッショナルをお招きして、資産運用にまつわる旬のトピックを取り上げる、本連載。1月は「新春特別編」をお送りしている。最後のエントリーとなる今回は、2019年の投資環境をテーマに話を進めよう。(1/4から読む)ーーー

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情報に対するアンテナを張りつつ
基本的な投資スタンスは変えないこと

2019年以降で気になるのは、アメリカや欧州、日本など先進各国の財政赤字問題です。赤字があると国家に対する信認が下がりますから国債が売られ、長期金利が上昇します。ここで、各国通貨が買われるのか売られるのかはわかりませんが、基本的には景気改善に結びつかない悪い金利上昇なので、売られる可能性が高いでしょう。そうすると、通貨安からのインフレという状況を招きかねません。いつ顕在化するのかハッキリしませんが、くすぶっていることは念頭に置いておくことです。

今年3月にはイギリスのEU離脱も決定しています。ただし、離脱交渉は混迷を極めていて、果たしてどうなるのか。なにより、EUから加盟国が離脱するのは初めてのことで、不透明なことが多すぎるのです。英国にとってメリットがあるという見方や正反対の声が交錯していて、わからないことだらけです。金融の中心地であるロンドンは何らかの影響は避けられませんが、ただただ様子を見守り、起きたことに対して対処するしかありません。

米国の利上げで新興国の景気が鈍化するという声もありますが、いまのところそういった兆候はなく、経済成長率は鈍っていないようです。しかし、企業のドル建て債務の負担が重くなる可能性はあるので、新興国で不動産投資を検討するなら、これらに関する情報はキャッチしておきましょう。ただし、目下のところASEANを中心に投資目的でコンドミニアムを買う日本人はいますし、減価償却を目的にアメリカやイギリスの築古中古物件を買う層も見られます。

アメリカに関しては、2020年の大統領選挙に向けて、来年後半はさまざまな動きが活発になっていくはずです。トランプ大統領が再任するのか、そうではないのか。国民の支持によって政策も変わってくるでしょうし、景気や経済が混乱するかもしれません。

一方、日本は東京五輪を目前に不動産バブルが崩壊するという声も一部でありましたが、あまり影響はないと思います。むしろ、そういったネガティブなセンチメントで物件が売られるなら、買うチャンスだと捉えています。

このように、資産運用を取り巻く環境は様々ありますが、毎年申し上げているように、基本的には「国内外の分散」を念頭に粛々と行うことです。年が変わったからと言って何かを急に変える必要はありません。いまは「つみたてNISA」や「iDeCo(イデコ)」といった、税制の優遇を受けられる、積立投資の仕組みも用意されています。

内藤忍

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