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レアコインの世界 3/4

資産デザイン研究所代表の内藤忍氏が、各界のプロフェッショナルをお招きして、資産運用にまつわる旬のトピックを取り上げる、本連載。今月は「レアコイン」をテーマに、株式会社ユニバーサルコインズの西村直樹代表取締役と対談しているが、その特長をさらに掘り下げていこう。(1/4から読む)ーーー

美術品としての側面も
驚くべき付加価値とは?

内藤 このギャラリーでもっとも価値の高いコインはどれでしょうか?

西村 およそ180年前に400枚だけ発行された「ヴィクトリア ウナとライオン 5ポンドプルーフ金貨」で、現在は軽く3000万円を超える価値。希少性はもちろん図柄も高い人気を誇ります。4年前は500万円ほどでしたが、2年前には約1000万円、1年前だと約2000万円と、うなぎ昇りで上昇を描いているのが特徴です。「世界一美しい金貨」と呼ばれていて、発行枚数400枚という希少性が、市場に出てくる度にレコードを続伸させているのだと思います。

内藤 これだけ価値に上昇力があるとは驚きです。

西村 レアコインは欧米をはじめ、南米からアジア、日本にもあります。それこそ、コイン自体は2600年前からありますから、そのなかから価値のある1枚を、皆さんが探しているわけです。

とりわけ、我々がお勧めしているのは、資産性の高いイギリスのコインです。というのも、19世紀のイギリスは大英帝国として名を馳せ、世界中に植民地を持っていました。そこで、当時は世界最高の富と権力を使い、世界最高の技術者に作らせた、希少コインが存在するからです。その多くは流通用ではなく、あくまで権力の誇示として作った記念コイン。貴族に贈呈したそうですが、そういったこともあり、発行枚数は限られ、おのずと価値は上がっていきます。先ほど紹介した「ウナとライオン」も貨幣価値は5ポンドになっていますが、金の価格で5ポンドは優に超えていて、付加価値分を加えると3000万円を超えるというわけです。イギリスだけではなく、オーストリアやフランスなど、欧州各国には希少性の高いコインが比較的多いのが特徴です。

内藤 こうったコインは、どのように手に入れるのですか?

西村 だいたいは、イギリスなど欧州の資産家が所有していますから、現地のディーラーにつないでもらい、お城のような自宅に伺い、蔵に入れていただき見せてもらいます。いまはネットでもモノは出てきますが、ある程度以上レアになると、サイトには載せません。現地の資産家と仲良くならないと見せてもらえませんし、売ってももらえません。少なくとも、初見の相手に希少コインを見せることも、ほぼないでしょうね。

内藤 まるで、京都の一見さんお断りのお店みたいですね(笑)。

西村 本当にその通りで(笑)。お金を積んだから売ってくれるわけではなく、あくまでも「譲っていただく」という形じゃないといけません。そもそも、彼らはお金に困っていませんから、安値で買おうと価格交渉をしようものなら追い返されるだけです。そういった世界のなかでコインはオーナーを渡り歩いていきますから、徐々に価格も上がっていきます。

内藤忍

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