ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

年下上司とうまくやれる人
にはビジネスの才覚がある

エンリッチ kaya1803-1

日本企業でも年功序列が徐々に崩壊しつつあり、かつて部下だった人が上司になるというケースも珍しくなくなっている。また転職も以前より活発になっていることから、同僚や部下だった人が、取引先になるということもある。

上下関係が変化した時に、うまく対応できる人は、実はビジネス面での能力が高い。その理由は、機能としての関係構築の方法を的確に理解しているからである。組織をマネジメントする人にとって、年下上司とうまくやれる年配社員は価値のある人材といってよい。

日本企業の多くは組織になっていない

日本の組織は、表面上は近代的な組織に見えていても、実際には農村共同体的な前近代システムを色濃く残している。上司と部下の関係はまさにその典型といってよい。

日本の組織では、機能として権限を持つ上司が部下に指示を出すのではなく、上司は絶対的にエライ立場であり、下の人はそれにただ従うだけという状態になっているケースが多い。上司の立場が高いのは、組織から権限を付与されているからではなく、上司だからという、単純で薄っぺらい理論だ。

こうした情緒的な上下関係は、高度成長時代までは何とか機能していた。やるべきことが決まっていて、上司はただハッパをかければよかったからである。しかし、価値観が多様化している現代社会ではこうした組織は通用しなくなりつつある。

年下の上司や、転職などでかつての同僚が取引先になるのが当たり前になった今、ビジネスにおけるコミュニケーション能力が強く問われるようになった。

近代組織における上司は、全人格的にエライのではなく機能として上司の権限が与えられているだけに過ぎない。これを上司の側も部下の側も理解していなければ、組織はうまく回らない。

年下が上司になってうまくいかなくなる人が続出しているのだが、このような人たちは、「機能」によって関係を構築するという概念が理解できていない。当然のことながらビジネスもうまく回らず、さらに評価が下がるという悪循環に陥る可能性がある。

残念な人を目にするケースは少なくない。

筆者は30歳の時にサラリーマンを辞めて自身の会社を設立したが、サラリーマン時代の上司が、筆者が経営する会社の取引先担当者になったケースがあった。その人物は、パワハラまがいのことをするなど人間的に少々問題があった。会社を辞めた理由は定かではないが、こうしたことも関係していたのかもしれない。

加谷珪一

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