ENRICH(エンリッチ)

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愛しのホノルルマラソン

ホノルルマラソンはまだ暗い明け方にスタートする

いよいよレース当日。ホノルルマラソンはまだ日が昇らない明け方の5時にスタートする。したがってランナーは遅くても夜中の3時起き、そして4時過ぎにはスタート地点に到着していなければならない。ふだんならありえない時間帯に3万もの人間が集まる。ホノルルマラソンならではの光景である。

エンリッチ 田島弓子 5キロ地点

それにしても、2014年大会は夜中から雨が降り出し、スタート1時間前の4時を過ぎても止む気配がなかった。何年か前も雨のレースとなった年があったが今年もそうなるのだろうか。とはいえランナーたちは慣れたもので、使い捨てのカッパやゴミ袋に穴をあけた即席カッパをまとってスタート時間を待っている。肌寒さを感じるが20度を切るくらいの温度なので、寒さに震えることはない。

そしていよいよスタート時刻の5時。一番心躍る瞬間。スタートと同時に夜空に盛大に花火があがり、ランナーの気持をいやがおうにも盛り上げてくれる。この花火があがる瞬間の高揚感、ホノルルマラソンに「また出たい」と思わせるひとつの理由ではないだろうか。

さらに走りながら迎える夜明けも格別の体験だ。自分の足元も見えないくらい暗かったのが、だんだん明るくなって、ハワイの景色や周りにいるランナー達の顔も見えてくるようになる。「よし、ここからが本番」と改めて気合いが入る瞬間でもある。

ホノルルマラソンを走りたくなる理由

ホノルルマラソンが何といっても素晴らしいのは、途切れることのない応援だろう。スタートしてまずはダウンタウンに向かうのだが、ダウンタウンの入り口にあるパブでは、前日から飲み明かしていた?人々がビール片手に応援してくれる。

ダウンタウンを過ぎると今度はワイキキを目指すが、まだ夜も明けていないのにワイキキのカラカウア通りは応援の人でびっしりだ。そしてダイヤモンドヘッドを超え、カハラの住宅街を抜けカラニナオレハイウェイで一路折り返し地点のハワイカイを目指しワイキキに戻るわけだが、ここではハワイのローカル達が惜しみない声援を送ってくれる。

ハワイカイの住宅街では、家の前で思い思いの応援スタイル。オレンジやプレッツェルやキャンディなど私設エイドステーションでランナーを応援してくれる家族も少なくない。2013年大会は非常に暑いレースだったのでエイドステーションでは補給が足りず、沿道でローカルの方が配っていたオレンジに思わずかぶりついた。それがどれだけありがたかったか、私は今でもその味を忘れることができない。さらに名物なのがゴールまで数キロ地点、とあるローカルファミリーがふるまってくれるビールのエイドステーション。さすがに私は手を伸ばしたことがないのだが、そんなおおらかな光景もホノルルマラソンならではだと思う。

エンリッチ 田島弓子 5キロ地点

制限時間がないホノルルマラソンではあるが、それはある意味暑さとの闘いでもある。午前9時をまわると気温はどんどん上がってくるので、4時間以上のランナーは脱水しないよう要注意。でもどんなに暑くてもハワイの青い空と太陽は、ただ暑いのとは異なる、ランナーにパワーを与えてくれている気がするのである。とはいえ、残念なことに2014年大会は朝からの雨があがらず、雨のレースとなってしまった。しかし、時折雲の切れ間から除く太陽によって虹が何度も現れてはランナーの気持を盛り上げてくれた。ハワイ州はRainbow State(虹の州)と呼ばれるほど虹がたくさん出る土地である。「No Rain, No Rainbow」そんな言葉を思い出しながらゴールを目指した。

田島弓子

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