ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

アイアンマンとハワイの深い関係

いま日本はトライアスロンの第何番目かのブームを迎えている。かくいう私もトライアスロン歴4年目の中堅?トライアスリートである。ブームに乗っかって始めてみたら、すっかりこのスポーツの魅力に取りつかれてしまった。

さらに私が年の半分を過ごしているハワイはトライアスロン人口が非常に多い。敷居の高いスポーツという感はなく、マラソンのように定着していて、皆マイペースでトレーニングやレースを楽しんでいるし、その中には60代や70代の人も少なくない。メジャーなレースにはたいていキッズレースも併催されていて、トライアスリートのパパやママを見て育った子供たちが、自分もレースに出て一所懸命に走っている。家族ぐるみでトライアスロン、そんな姿を見ているとますますこのスポーツはいいなぁと思う。

キッズトライアスロン
キッズトライアスロン

そしてトライアスロンとハワイにはもうひとつ、非常に深い関係がある。今回はトライアスロンに対する知識を深めていただくためのお話をしたいと思う。

トライアスロンには種類がある

実はトライアスロンには種類がある。距離別でレースが設定されているのだ。その数主に4種類。オリンピックで採用されているショートディスタンス(オリンピックディスタンスとも言う)に始まり、ミドルディスタンス、ロングディスタンス。さらにショートの半分のスプリントディスタンスの4種類である。

トライアスロン=鉄人レースというイメージがあるが、決してそんなことはないと私は思う。トライアスロンの初レースは大体、ショートかスプリントで始める人が多いが、それをマラソンと比較すると明らかだ。ENRICHの読者層の方であれば、どんなに遅くてもショートなら3時間半くらいでフィニッシュできるだろう。しかし、初マラソンを3時間半でゴールできる人はそうそういないはずだ。さらにトライアスロンは3種目を行うので身体の様々な箇所をまんべんなく使うため、マラソンのように足だけがことさら痛くなる、といったことがない。そういった点においても、トライアスロンはイメージよりも身体に優しいスポーツなのである。

しかしこれがロングディスタンスとなると話は別だ。ロングディスタンスはスイム3.8キロ、バイク180キロ、ラン42.195キロ。これを制限時間17時間内にフィニッシュしなければならない(※レースによって制限時間に若干違いがある)。つまり、一日中動き続けることが出来るだけの体力や筋力、そしてメンタルをあわせ持たなければゴールすることはできないのである。

私も昨年、オーストラリアのメルボルンでこのロングディスタンスの大会に出場、12時間半でフィニッシュすることが出来た。大荒れに荒れた海でのスイム、強風に見舞われたバイクと、フィニッシュまでの道のりはハンパではなかった。しかし、そんな苦しみの末に、既に日が暮れたゴールゲートをくぐった時は嬉しくて涙が出たし、沿道の観衆に応援されながらのゴールは最高の気分だった。

アイアンマンメルボルンスタート前
アイアンマンメルボルンスタート前

そのときに、フィニッシュで完走者を待つMCが言ってくれるのが「You are an Ironman!」である。「鉄人」の言葉はこのIRONMANというロングディスタンスレースのブランドから由来したものだと思われる。トレーニングのつらさ、レース中のトラブルやハプニングなど、心折れる経験を何度もしているにも関わらず、またしばらく経つと「You are an Ironman!」を思い出し、IRONMANにチャレンジしたくなってしまうのが、この競技の麻薬にも似た最大の魅力ではないだろうか。

田島弓子

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