ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

いい靴の選び方と、手入れの仕方


Q

フィッティングの際に、注意すべき点は?


A

ボールジョイントの位置、そして紐の“開き”に注意します。

試し履きの際に注意するポイントはこの二つ。

ボールジョイントとは、足と靴の一番幅の広い部分の接点のこと。フィッティングでは、ここがきちんと合っているかどうかが、最も重要だ。
ボールジョイントとは、足と靴の一番幅の広い部分の接点のこと。フィッティングでは、ここがきちんと合っているかどうかが、最も重要だ。
靴ひもを締めたときに、羽根部分が少し開いていること。ここが閉じてしまっていては、その靴は大きすぎだ。
靴ひもを締めたときに、羽根部分が少し開いていること。ここが閉じてしまっていては、その靴は大きすぎだ。

——それでは、店頭でフィッティング(試し履き)するときに注意すべきポイントを教えてください。

「まずチェックしたいのは、ボールジョイントの部分ですね。足と靴の一番幅が広い部分のことで、ここがしっかり合っていることが大切です。ここが当たっていると、その靴は痛くて履けなくなります。特に欧州の靴屋に多いのですが、すごく小さめの靴を勧めてくる靴屋もあります。しかし、私個人はあまりおすすめしません。せいぜい底材の凹み分くらいを考慮すればいいのではないでしょうか。アッパーまで変形させてフィッティングを得るというのは、おかしいと思います。それから紐靴の場合は羽根部分がやや開いていることが必要です。ここがぴったり閉じてしまっていたり、逆に開きすぎていたりすると、紐による調節ができません」

——フィッティングには、どのくらいの時間をかければよいですか?

「長時間歩くのは、あまり意味がないと思います。それから、よく屈伸運動をなさったり、ぐいぐいと曲げたりする方もいらっしゃいますが、これも普段の生活ではあまりしないことですから、どうかと思います。普通に体重をかけて、歩いてみるくらいでいいでしょう。それよりも数多くのサイズを揃えている靴店に行くことです。ワールドフットウェアギャラリーでは、長さは23〜28cm、ウィズ(幅)はさまざまなブランドを揃えているので、C〜F程度のレンジから選べます。特にウィズが揃っていることは重要です」

——よく、靴は夕方買えと言われますが、あれは本当なのでしょうか?

「確かに夕方のほうが足が大きくなるという俗説がありますが、実は人それぞれで違います。朝の方が足がむくんで大きくなる方もいるのです。それから、なぜかはわかりませんが、海外へ行くと足のサイズが変わる方も多いようですね。これも以前数人で話してみたら、大きくなる人もいるし、小さくなる人もいるようでした。ちなみに私は、外国へ行くと足が小さくなります。いずれにしても、人間の足というものは大きくなったり、小さくなったりするものなので、いろいろ調節する必要があるということです」

 


Q

靴を買ったら、まずすることはありますか?


A

油分の多い靴クリームを塗ってください。

靴を買ったら、まず油分の多い靴クリームを塗る。長時間ストックされていた靴は乾燥しており、いきなり履くと割れてしまう恐れがあるからだ。
靴を買ったら、まず油分の多い靴クリームを塗る。長時間ストックされていた靴は乾燥しており、いきなり履くと割れてしまう恐れがあるからだ。
工場を出たばかりの靴の履き口は、細長い形をしている。これが外くるぶしに当たることを嫌う人は、おろす前に、かかと部分を押すといいという。
工場を出たばかりの靴の履き口は、細長い形をしている。これが外くるぶしに当たることを嫌う人は、おろす前に、かかと部分を押すといいという。
ドイツ、ペダック社の靴紐は、強度に優れ、ほどけにくい。250円〜(ワールドフットウェアギャラリーTEL.03-3423-2021)
ドイツ、ペダック社の靴紐は、強度に優れ、ほどけにくい。250円〜(ワールドフットウェアギャラリーTEL.03-3423-2021)

——靴を買って、家に持ち帰ったら、何かしなければいけないことはありますか?

「基本的には特にないですね。ただし、在庫の回転の悪い靴店だと、長時間ストックされていた可能性があり、靴自体が乾燥しているかもしれないので、油分の多い靴クリームを塗っておくのはおすすめです。
あと、工場を出たばかりの靴は、履き口の形が狭く細くなっていて、外くるぶしが当たることがあります。これを嫌う方には、かかと側をぐいぐいと押して、履き口を丸くしてから差し上げることもあります。
それから、紐の通し方には大別すると2つあって、片側から順番に通して行って、最後の穴から手前に引き寄せる“シングル”と、交互に紐を交差させて行く“パラレル”があります。最初はイギリス靴はパラレル、それ以外はシングルになっていることが多いですね。好みもありますが、私自身はよく締まり、脱ぐときもラクなパラレルをおすすめします。ドイツ、ペダック社の靴ひもは強度に優れ、ほどけにくいので、新品を買ったら、すぐにこれに替えてしまう方もいらっしゃいます。
靴底が滑らないようにと、カッターナイフで傷を入れる方もいらっしゃいますね。私自身はやりませんが、お洒落なことで有名だった故・加藤和彦氏は、いつもされていました」

松尾健太郎

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