ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

教授に聞いた、いまのトレンドまるわかり!
BEAMS F 中村達也

ビームスの中村達也さんといえば、この業界では“教授”のあだ名で知られている。ビームスのドレス部門を統括する存在であり、ファッションに対する深い造詣をお持ちだからだが、理由はもう一つある。教授は教えるのがうまいのだ。難しいスタイルの話を、実にわかりやすく解説してくれる。

中村さんが、毎シーズン作る展示会向けの小冊子は、「中村ノート」として知られ、多くの編集者やスタイリストのネタ元となっている。この世界にお洒落な人はたくさんいるが、お洒落をうまく言葉にできる人は少ない。まさに“コンシェルジュ”として、こんなに理想的な人はいない。

今回はそんな教授に、現在のメンズ・ファッションのトレンドについて、「まるっと」教えて頂いた。スーツからカジュアルスタイルまで、いま何が注目され、何がお洒落とされているのか、すべてを伝授してもらった。

コレさえ読めば、あなたも今風ファッショニスタの仲間入りだ。

今回の Concierge
中村達也さん(BEAMSクリエイティブディレクター)

1963年 新潟市生まれ。 母の実家は羅紗屋(生地商)、父方の祖父は靴職人という環境に生まれる。大学4年の秋にBEAMSでアルバイトを始め、卒業と同時に入社。 BEAMS SHIBUYA、BEAMS F 店長、BEAMS F バイヤーを経て、現在BEAMS F 、Brilla per il gusto、Demi-luxe BEAMS、EFFE BEAMSの4セクションを統括するクリエイティブディレクター。


Q

「いま人気のあるスーツは何ですか?」


A

「とにかく“英国調”がキーワードです」

実に英国らしい柄、ウィンドウペインのスーツ。英国を代表する生地メーカー、フォックス・ブラザーズの生地を使用。チェンジポケット、サイドアジャスターが付く。11万5000円(ビームスF/ビームスF Tel.03-3470-3946)

——ずばり、今年風のスーツって、どんなものでしょうか?

「キーワードとなるのは、“英国調”ということですね。今まではイタリア風の艶っぽい着こなしが流行って来ましたが、ここ数シーズン、クラシック回帰が顕著になってきました。ですから、ウィンドウペインやグレンプレイド、ハウンズトゥースなど、英国的な柄のスーツが注目されています。チェンジポケットなども、英国的なディテールです」

——なるほど、ではこれらはイギリス製なのでしょうか?

「確かにテイストは英国なのですが、作っているのはイタリアや日本で、仕立てもごく柔らかいのです。英国自体には、もうビスポーク以外には、めぼしい工場がありません。欧州だと工場はどうしてもイタリアとなりますね」

——パンツの形も、今までとは違いますね。

「ここ10年くらいノープリーツが人気でしたが、今ではプリーツ入りが主流となりつつあります。これはプリーツを内側に折り込んだインプリーツのタイプで、これも英国的なディテールです。イタリア製ではアウトプリーツが多いのですが、実はインプリーツはレギュラープリーツともいい、こちらのほうが正統なのです。サイドアジャスターが付いて、ベルトループはないタイプです」

コットン素材のスーツ。やや濃いめのベージュがトレンドカラー。こちらもパンツはプリーツが入っている。10万5000円(タリアトーレ/ビームスF Tel.03-3470-3946)

——こちらの素材はコットンですね?

「そうです。コットン素材のスーツも多く出回っています。欧州では昔からあるタイプですが、カジュアルなスーツを着るという習慣がなかった日本人には、馴染みの薄いものでした。流行の背景には、ジャケットスタイルからの、乗り換え需要があると思います。今までジャケットをメインに着ていた人が、抵抗なく着られるスーツとして、人気が出ているのだと思います。色目は今までのような明るいベージュではなく、ダークなベージュやオリーブ、ブラウンなど、やや濃いめのカラーが人気です。」

——コーディネイトはどうすればよいのでしょう?

「白いコットンや麻のシャツに、ネイビーの無地のニットタイをするのがいいと思います。シンプルが一番です。足元はタッセルシューズがおすすめです」

トレンドについて熱く語る中村氏、まさに“教授”そのもの

松尾健太郎

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