ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

シップスで聞いた、定番と今風の着こなし

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数あるセレクトショップの中でも、シップスはひときわ古い歴史を誇る。1952年より東京・上野のアメヤ横丁にて米軍放出品を扱った商いを始め、1975年に伝説のショップ、ミウラ&サンズを渋谷にオープン、1977年にはシップス一号店を銀座に開いた。以来アメリカ物を中心に、英国、フランス、そしてイタリアの逸品を日本に紹介し続けてきた。まさに元祖セレクトショップといえる存在だ。

今回はそんなシップスに、定番アイテムとその今風の着こなしを聞いてきた。長い間愛される商品には、必ずそれなりの理由がある。機能に優れ、丈夫で、リーズナブルだからこそ、生き残っているのだ。しかし、同じモノを同じように身に着けるだけでは、いつしか古臭い装いとなってしまう。

長い歴史を持ち、かつ“アップデートされたトラディショナル”を標榜するシップスこそ、定番の魅力と、その新しい着こなしを問うのに相応しいのだ。

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今回の Concierge 
秋山智春さん(シップス商品1部商品1課 課長)

1976年、新潟生まれ。23歳よりシップス新潟店にてアルバイトを始め、その後銀座店へ異動。29歳よりバイヤーとなる。現在はスーツ、ジャケットをはじめメンズドレスウェア全般のバイイングを担当。またオリジナル商品の企画なども手がける。まさにシップスの“舵取り役”として活躍している。本日のスーツはカルーゾ、シャツはサルバトーレ・ピッコロ、ニットはロベルト・コリーナ、シューズはイル・モカシーノ。スーツをノータイとニットで着る、リラックスしたスーツ・スタイルがお好みだそう。

*シューズ ¥33,000(イル・モカシーノ/シップス 銀座店 Tel.03-3564-5547)


Q

「定番商品の魅力とは何でしょうか?」


A

「実は常にアップデートされているところです」

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——シップスを代表する定番商品とは、どんなものですか?

「ネイビーブレザー、白のBDシャツ、グレイのウールパンツ、オールデンやクロケット&ジョーンズの靴といったところが、シップスを代表する定番商品でしょう。シップスはもともとアメリカものを扱っている店でしたので、どこかにアメリカの匂いを感じさせるものが、シップス流ということになるでしょう」

——そもそも定番商品の魅力とは何でしょうか?

「“定番商品”と“まったく変わらないもの”は少し違います。定番とは言っても、ずっと同じものを出し続けているわけではありません。時代に合わせて少しずつアップデートされているのです。だからこそ、長い間愛され、売れ続けているのだと思います。着こなしについても同様で、常に時代に合ったコーディネイトをおすすめしています。20年間ネイビーブレザーを着続けていても、その時々にあった着こなしというものがあるはずです」


Q

「それぞれのジャンルの定番アイテムと、その着こなしを教えて下さい」


A

「どれも20年以上、売れ続けているものばかりです」

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コットン・ソラーロ素材のスーツ¥129,000(ヴァルディターロ/シップス 銀座店 Tel.03-3564-5547)

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——スーツの定番を教えて下さい。

「イタリアのヴァルディターロ社が作る3パッチポケット・スーツが大定番です。もう20年以上前から扱っており、毎年素材を変えてリリースし続けています。丸く柔らかく、カジュアルに着るスーツとしても最適です。20年前はそういうスーツがあまりなかったので、とても新鮮だったことを覚えています。最大の特徴は3つのパッチ・ポケットがついているところで、ちょっと米国風なのです。“イタリアから見たアメリカ”といったところでしょうか。素材は落ち着いたブラウンのコットン・ソラーロ素材で、派手なソラーロに抵抗がある方も、抵抗なく御召し頂けると思います」

——このスーツを今年風に着るにはどうすればいいですか?

「普通、お堅いスーツにはボタンダウン・シャツは合わないのですが、このスーツは3パッチでカジュアルな表情を持つので、BDシャツもよく似合います。ネクタイも、サテンなどのピカピカした素材感のものより、同じシルクでもネップ系のざっくりしたモノの方が、カジュアル感がアップされていいと思います」

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ヴァルディターロのスーツのコーディネイト例。タイ¥18,500、チーフ¥7,800(ともにニッキー)、シャツ¥22,200(ギ・ローバー/シップス 銀座店 Tel.03-3564-5547)

——シャツの定番商品を教えて下さい。

「これはもう、ギ・ローバーで決まりでしょう。イタリアの古くからあるシャツ・ファクトリーです。私の入社前からあったので、少なく見積もっても25年以上は扱っています。魅力は何と言っても、クオリティと価格のバランスが高いことです。超絶ハンドメイドというわけではありませんが、デイリーに着られる高品質なシャツとしては、今でもナンバーワンだと思います」

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ホワイトのオックスフォード・コットン製ボタンダウン・シャツ¥22,200、メッシュ・コットンのストライプ・シャツ¥22,200(ギ・ローバー/シップス 銀座店 Tel.03-3564-5547)

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———誰でも一枚は持っている白のボタンダウンですが、これを今年風に着こなすにはどうしたらいいでしょう?

「白のボタンダウンに、シアサッカーのジャケット、グレイのウーツパンツを組み合わせるのは、ド定番の着こなしです。普通ならここで、ニットタイを合わせがちですよね。しかし今年は、流行のプリント・タイをコーディネイトしてみてはいかがでしょうか? 色もトレンドのターコイズ。これだけで着こなしの表情が、がらりと変わります」

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ギ・ローバーのホワイトのボタンダウン・シャツのコーディネイト例。ジャケット¥46,000(シップス)、タイ¥18,500(ニッキー)、チーフ¥6,400(ロバート キート)パンツ¥17,500(シップス/シップス 銀座店 Tel.03-3564-5547)

松尾健太郎

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