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インタビュー 認知科学者 苫米地英人 Vol.3

苫米地氏3_1

雑誌のオーナーとしての顔も持ち、不良の更生を目的としたイベントも手がける苫米地氏。後半ではお勧めのヘリコプターの買い方についても伺った。(前の記事を読む:Vol.1 Vol.2)——

権力をウォッチするために雑誌のオーナーに

E:苫米地さんは雑誌『サイゾー』のオーナーもされているとお聞きしました。

苫米地「『サイゾー』の前の編集長のこばへん(小林弘人氏)とは、彼が『ワイアード日本語版』の編集長をやってた頃から知り合いで。当時、『ワイアード日本語版』で俺は連載してたから、その連載も『サイゾー』の創刊とともに移行して。そのとき、編集担当だった学生バイトが今のサイゾーの社長の揖斐くん。当初はインフォバーンって会社から刊行されてたんだけど、あるときこばへんが雑誌部門を売りたいっていったから俺が買い取って、サイゾーって別会社にしたの」

E:『サイゾー』という雑誌をご自身で持つ目的を教えてください。

苫米地「メディアの仕事、ジャーナリズムの仕事というのは権力をウォッチすることなんだよ。ところが、今はどこの週刊誌も全部エロ雑誌になってるじゃん。袋とじ何ページあるんだよって(笑)。『噂の真相』もなくなったし。そういう時代に権力をウォッチするメディアがないとね。男性向けの雑誌だからアダルトな内容があってもいいし、そっちはおまけとして考えてる」

E:苫米地さんは『サイゾー』の内容に関与しているんですか?

苫米地「一切しない。編集には口出ししない。俺は角川春樹事務所の顧問もやってるから、映画の制作にも関わってて、大手の芸能事務所とはいろいろ仲いいんだよ。現場で“うちの社長が苫米地さんにやられたと言って泣いてます!”なんて芸能事務所のスタッフに言われたことがあって。何のことかと思って聞いたらサイゾーにバッシングされてたりするのね(笑)。それでコンビニで確認すると、そのバッシング記事が書いてあって。そういうときは編集に“お手柔らかに頼むよ”って一応言うけどね。事後報告(笑)」

E:『サイゾー』はWebでもいろいろ展開してますね。

苫米地「それは俺がサイゾーを買ったときに揖斐新社長にアドバイスしたの。どんどんスピンオフしてWebサイトを作れって。それがサイゾーウーマン(http://www.cyzowoman.com/)だったりビジネスジャーナル(http://biz-journal.jp/)だったりいっぱいあるじゃん。それらのメディアが広告を取れてるから会社全体では黒字。『サイゾー』雑誌単体ではずっと赤字。それが自慢だよ(笑)。雑誌なんか黒字になった瞬間に広告主からなんか言われるし」

E:メディアとしての自立性がなくなってしまうということですね。

苫米地「そうそう、広告なんて出してくれればありがたいけど、文句言うような広告主はいらないし。だから、大手広告代理店とはつきあわない」

E:アダルト系の広告が多いのはそういう理由なんですね。

苫米地「出してくれるのはありがたいよね。お金を出してくれるならアダルトでもなんでもいいから、どんどん広告を出してくれと。最初、株主は俺しかいなかったけど、最近になって揖斐にちょっと譲って。株主も広告と同じで、外に出したと同時にプレッシャーがかかるんだよ。雑誌にプレッシャーをかける広告主と株主をこっちで押さえておけば、もう何書いたって自由だからね。後はどうぞ訴えてくれって。俺が最後まで戦うよ、最高裁まで行くよってことは編集に伝えてある。訴えられても怖くもなんともないから、俺が最後まで戦ってやるよって。報道の自由は憲法で保障されてるからね」

E:そこまでしなければメディアの独立性は保てない、ということですね。苫米地さんの覚悟を感じます。

苫米地「そういうこと。だから、テレビなんてちゃんちゃらおかしいね。最初から広告代理店の子会社だもん」

エンリッチ編集部

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