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インタビュー 認知科学者 苫米地英人 Vol.2

苫米地英人

「世界から戦争と差別をなくす」という理念を掲げ、国内外で社会貢献を行ってきた苫米地氏。その具体的な中身とは。(Vol.1から読む)——

震災時には復興支援として自らのヘリを提供

E:東日本大震災時はヘリを提供したそうですね。

苫米地「そう、震災時には提供したね。ロビンソン社のR44という4人乗りヘリなんだけど、真っ赤なヘリでラメ模様にしてもらって、“Dr.Tomabechi”って横に書いてもらったデザインのやつ。ロビンソンの広報誌にも“うちのヘリが日本の復興に貢献してます”って載ったよ。俺のフェイスブックのTOPにその写真は上げてるから。ほかにもたくさんの人が震災時にはヘリを寄付したいと申し出てたみたいでね。機体だけじゃなくて、ガソリンもないだろうから定期的にドラム缶で何本も送ったよ。ヘリだけ渡されてガソリンがなかったら向こうも困るだろうから」

E:どれもスケールの大きい話ですね。

苫米地「俺としては寄付したつもりだったんだけど、向こうとしてはもらうわけにはいかないようで2年で戻ってきて。レスキューとして使われたから相当酷使されたようで、また乗るにはアメリカで破壊検査をして、エンジンも載せ替えなきゃならない。それだけで何千万円もかかるという(笑)。乗らなくても駐機料だけで月70万円かかるから、また乗ろうかと思うんだけど検査時には塗装とか全部はがされちゃうから、また新しいデザインどうしようかなって。いいデザインがあったら募集中」

震災支援で活躍した苫米地氏のロビンソンR44。オリジナルのデザインと「Dr.Tomabechi」のサインを施している。
震災支援で活躍した苫米地氏のロビンソンR44。オリジナルのデザインと「Dr.Tomabechi」のサインを施している。

E:苫米地さんの社会貢献は、主に海外の国を対象にしているんですか?

苫米地「そうだね。日本にも差別はあるけど、世界にはもっとヒドい状況の国がたくさんあるから。日本は政治家が一生懸命やってくれと。彼らが無能なことは百も承知だけど、日本以外の国連の190数カ国にはたいへんなところがいっぱいある。未だに10億人以上の人たちが飢えてるし、日々戦争の国もある。それをいかになくすかが社会貢献。これは微妙な話なんだけど、さっき俺はインドの貧困地域に沖縄からプライベートジェットで2500万かけて行くと言ったでしょ。これに対して、その金額を寄付すればいいじゃんという反論は成り立つ。でも、その2500万円をインドに寄付しても人口規模から考えて一瞬でなくなってしまうわけだ。俺が行かないと成り立たない社会貢献があるから、現地まで行って2500万円以上の働きをする。そのために、成田からだったら3000万円かかるところを沖縄まで移動して、2500万円で行けるように限界までケチってるわけ。世界から戦争と差別をなくそうと思ったら、やっぱりそのくらいのことはやらないと」

エンリッチ編集部

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