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【53】毎月分配型ファンドのデメリットとは?

資産デザイン研究所代表の内藤忍氏が、資産形成にまつわる悩みや質問に答える、本シリーズ。今回のテーマは、「毎月分配型ファンド」です。ーーー

毎月分配型ファンドのデメリットとは?

Q(質問者):毎月分配型のファンドに投資していますが、専門家の方の意見ではネガティブな見方の人が多いようです。買ってはいけないファンドなのでしょうか?

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A(内藤氏):毎月分配型投信とはその名称の通り、外国債券やREITなどに投資して得られたインカム収入を毎月分配金として投資家に支払う仕組みの商品です。リタイアした年金生活の人のような毎月のキャッシュフローが必要な世代に人気ですが、専門家の評判はあまり良くないようです。

その理由の1つは、分配金の原資を金利や配当だけでは賄いきれず、特別分配金の形で元本を取り崩すようになっているケースがあるからです。元本が削られていく、このような分配金支払の仕組みを理解しているかと言えば、かなり疑問です。元本が減っていけば投資効果は低くなり、商品自体のパフォーマンスも低下してしまいます。

もう1つの理由は、若年層の資産形成には向いていないということです。20代、30代のような資産形成層の世代の人には、分配金を出してしまうと、せっかく入ってきたインカム収入を再投資しないで流出してしまいます。すると複利の効果が得られないことがあるのです。若い世代は長期で投資できるにも関わらず、その恩恵を十分に享受できません。

そうすると、確かに前者については、分配金の原資が何なのかを投資家にきちんと理解してもらう必要があると思います。ただし、毎月分配という仕組み自体は、毎月のキャッシュフローが必要なシニア層にとっては悪いものではありません。

資産を少しずつ取り崩してでも、毎月の生活費を捻出したいというニーズに合っているのは確かなこと。本人の資産運用の目的によって、毎月分配型投信はメリットにもデメリットにもなるということです。

問題は、毎月分配型かどうかよりも、むしろ運用の中身です。投資手法や信託報酬の数字など、投資信託としてのクオリティが低ければ、そもそも投資商品としての価値はありません。

毎月分配型ファンドというだけで否定してしまうのではなく、ニーズに合った商品を運用のクオリティから選んでいくのが良いと思います。

内藤 忍 (ないとう しのぶ)

株式会社資産デザイン研究所代表取締役社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、金融機関勤務を経て1999年にマネックス証券の創業に参画。同社は、東証一部上場企業となる。その後、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役などを経て、現職。著作は40冊以上。2015年には銀座に「SHINOBY`S BAR 銀座」をオープン。無料のメールマガジン「資産デザイン研究所メール」は購読者が約47,000人という人気

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