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【45】収益物件は資産管理会社を設立したほうが良い?

資産デザイン研究所代表の内藤忍氏が、資産形成にまつわる悩みや質問に答える、本シリーズ。今回の質問者は、複数の物件を所有する不動産投資家。規模が拡大したので個人ではなく、資産管理会社の設立を検討しているようです。

収益物件は資産管理会社を設立したほうが良い?

Q(質問者):不動産投資を2年前から始めて、現在複数のワンルームを保有しています。今後さらに投資を続けていこうと思っているのですが、個人で所有するより資産管理会社を設立した方が良いでしょうか。

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A(内藤氏):不動産投資は個人で所有して、賃料や経費を確定申告するのが一般的ですが、ある程度投資物件の金額が積み上がってくると、資産管理会社を設立した方が良いケースが出てきます。

資産管理会社を設立し、その会社の名義で不動産を登記すると、個人所有から法人所有になり、投資家本人は資産管理会社の100%株主という立場に変わります。

資産管理会社を設立するメリットとしては、以下のことが考えられます。

まず、法人としての不動産投資になりますから、法人税を納税することになります。特に5年以内の売却の場合、個人は譲渡益の40%以上が課税されますが、法人で売却すれば税率を低くできるメリットがあります。

また、銀行からの融資も法人として借入をすることになれば、個人の仕事からの収入ではなく、不動産投資事業としての返済力をベースに借入をすることができるようになり、資産を大きく広げられる可能性があります。

さらに、相続の際も、個別の不動産物件ではなく、管理会社の株式が相続財産となります。物件の登記変更など、面倒な手続がなく、納税上も有利になるケースがあります。

一方でデメリットも見られます。法人を設立することになりますから、当初の設立費用と、継続的にかかる会社の経理・税務などのコストがかかります。

毎月の経理と決算書の作成などを税理士に依頼すれば、年間で30万円から50万円くらいの支出になりますから、それ以上のメリットがあれば、検討しても良いと言えます。

将来の不動産購入のプランによっても変わってきますので、物件を積み上げていく可能性のある人は、税理士などの専門家に相談するのが良いでしょう。

内藤 忍 (ないとう しのぶ)

株式会社資産デザイン研究所代表取締役社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、金融機関勤務を経て1999年にマネックス証券の創業に参画。同社は、東証一部上場企業となる。その後、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役などを経て、現職。著作は40冊以上。2015年には銀座に「SHINOBY`S BAR 銀座」をオープン。無料のメールマガジン「資産デザイン研究所メール」は購読者が約47,000人という人気

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