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2019年 新春特別編 2/4

資産デザイン研究所代表の内藤忍氏が、各界のプロフェッショナルをお招きして、資産運用にまつわる旬のトピックを取り上げる、本連載。今回は、「2019年新春特別編」をお送りしている。(1/4から読む)ーーー

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米国、欧州が景気を立て直し、
日本はそれに続く状況

2018年にアメリカのFOMC(米連邦公開市場員会)は、3月、6月、9月、12月の4回にわたり政策金利を引き上げました。米国内の企業を始め、ドルで資金を調達している事業者にとっては有利子負債の負担が高まり業績を圧迫するわけですから、これも同国の株式市場にとってマイナス要因になったと思います。とりわけ、ドルで資金を借りて現地通貨で新興国に投資をしていると、こういった流れが起きると企業経営が悪化する懸念があり、その国の通貨が売られるというプロセスがあります。

ただし、今年もFRB(連邦準備制度)は段階的に利上げを実施するかというと、私はそう考えていません。これまでの米国の利上げは、リーマンショック以降に異常だった同国の金融政策を平常化したいということで行われていて、インフレに対する引き締めではないと見ています。むしろ、トランプ大統領はこれ以上の利上げをけん制する向きもあり、FRBとしても景気が減速すると批判されるリスクがあります。そろそろ打ち止めなのではないでしょうか。

ユーロも、いままでは通貨の流動性を過剰に供給させて景気を浮揚させる量的緩和の政策を取ってきましたが、そろそろ収束に向かう「テーパリング」の実施に踏み切ろうという段階まで持ち直しました。アメリカのように伝統的な金融政策で利上げをするまでには至っていませんが、2019年は金融政策を利上げにシフトさせる可能性はあります。そう考えると、現状における先進国の景気はアメリカが先頭を走り、次いで欧州、テーパリングにすらたどり着いていない日本は、遅れを取っていることになります。今年も状況に変わらないでしょう。

内藤忍

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