国内の株式市場も振り返ってみましょう。日経平均株価は昨年1月下旬に2万4000円台を抜けたものの、米国市場と似たような流れで失速して、3月下旬には2018年最安値の2万617円に。その後はじわじわと上昇を続けて、10月には同年最高値の2万4270円にまで到達、ところが以降は再び下落しました。3月から10月にかけては株式や投資信託といった金融資産は順調に推移しましたから、恩恵にあずかった人もいたと思います。
何かとトラブルが際立ったのは、不動産投資の分野です。シェアハウスを巡るスルガ銀行の不正融資、都心部を中心にアパートやマンションを販売するTATERU(タテル)も顧客の預金残高を水増しした書類で融資を申請するなど、金融機関や不動産会社の不祥事が昨年は相次ぎました。これにより、金融庁は融資における審査業務の厳格化を推進していて、地銀などの姿勢が変わった結果、多額の融資は厳しくなるように。地方では1棟不動産の買い手が少なくなったことで価格が下がり始めています。そうすると、キャッシュリッチな人にとっては優良な物件は買いやすく、そうでない人は融資によるレバレッジが効かせられないので、不利になっていくかもしれません。
1棟物件に比べると手ごろな区分のワンルームマンションには人気が集まり始めています。ただし、買い手が増えると価格は上がりますから、都心であればネット利回りが4%を切るケースも出てきました。とはいえ、ワンルームに対する需要が高いと家賃が上がるので、これ以上に収益性が悪化するかというと、決してそうではないと思います。
ーーー融資の審査が厳しくなったことで、環境に変化が訪れた国内不動産投資。さらに2019年は、“ある問題”が表面化しそうだと内藤氏は指摘する。次回は、これについて言及しよう。