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The Style Concierge

2017年 新春特別編 2/4

エンリッチ マネーカフェ 201701−2

資産デザイン研究所代表の内藤忍氏が、各界のプロフェッショナルをお招きして、資産運用にまつわる旬のトピックを取り上げる、本連載。1月は「新春特別編」として、昨年から今年にかけての投資環境についてお聞きしている。(新春特別編 1/4)ーーー

トランプ氏の政策によって
アメリカに投資マネーが集まる

前回に引き続き、2017年は世界の投資マネーがアメリカに集中する理由をお伝えします。

トランプ氏が大統領に就任するのは1月20日で、具体的な政策は以降に発表されますから、現時点で明確は話ではありませんが…選挙中に掲げた公約によると、トランプ政権下では、法人税の減税、インフラ投資、財政出動の積極化といった方針のようで、これにより国内景気を浮上させたい考えです。

すると、投資機会を得ようと、他国から莫大な資金がアメリカに流れ込みます。例えば、すでに不動産価格は値上がりしていますが、さらに資金が入ってくる可能性もあり投資対象として魅力的です。外国人投資家の立場だと、ドルが上がると為替差益も狙えます。

新興国のなかでも経常赤字など、経済が脆弱な国からは投資資金が出ていく可能性が高いと思います。不景気な国に投資するより、好景気なところに投じるほうが、断然儲かりますから。具体的には、トルコや南アフリカ、インドといった高金利の国々、あるいは成長力が鈍化し始めているマレーシアなどが考えられるでしょう。一方、経常赤字ではないフィリピン、ドルが流通しているカンボジアといった国は、比較的影響が出にくいと思います。

高金利の国から資金が逃げると、各国通貨は下落しますし、株価の動きも冴えなくなることに…。最悪なのは、通貨防衛のために利上げをしてしまうことです。すると、ただでさえ景気の良くない国内企業にとっては有利子負債が増え、金利が高いとお金を借りて投資するといった機会も生まれにくくなります。負のスパイラルが始まり、さらに通貨が売り込まれるといった状況を招きかねません。

内藤忍

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