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2017年 新春特別編 2/4

FXでこういった通貨を取引している人は、金利差から得られるスワップ収益が目当てであることがほとんどですが、それ以上に為替が下落すると元も子もありませんから、注意が必要です。

トランプ氏の大統領就任で世界中から投資マネーがアメリカに集中すると予想される
トランプ氏の大統領就任で世界中から投資マネーがアメリカに集中すると予想される

投資先として昨年ご紹介したベトナムやスリランカといった国々については、短期の経済ファンダメンタルズに注意したいところです。投資資金がアメリカに向かうことで一時的な通貨下落に陥るかもしれません。しかし、これらの国は元々の成長率が高く、再び投資資金が戻ってくる可能性もあり、国内の実体経済が悪くなければ、通貨の短期的な動きは心配しなくていいと思います。

不動産投資なら長期的に取り組むので、5年~10年単位で成長が続くところには引き続きお金を入れるという考えもあるでしょうし、安くなれば買いのチャンスと捉えることもできます。物件価格も一時的に調整するかもしれませんが、投資対象自体に魅力がなくならない限り、それほど心配する必要がありません。

日本経済に関しては、円安は紛れもなく追い風です。輸出産業を中心に企業収益は回復しますから、株価にはプラスに影響するでしょう。

ただし気を付けるべきは、財政赤字の問題がクローズアップされることです。アメリカも積極的に財政出動を行えば国は赤字になり、それに伴い米国債も売られて金利の上昇を招くでしょうが、同じ様に日本の慢性的な財政赤字が意識されると国債に対する信任が落ちるかもしれません。現在は、日銀が長期金利を操作するイールドカーブ・コントロールがかかっていて上昇を抑えていますが、将来的にリスクは現れ始めています。

ーーートランプ氏の政策や金利引き上げで、世界中の投資マネーが米国に集まり、影響を受ける国があるということだ。一方、日本の不動産投資の環境はどうなるのか? 次回は、この辺りを探っていこう。

内藤 忍 (ないとう しのぶ)

株式会社資産デザイン研究所代表取締役社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、金融機関勤務を経て1999年にマネックス証券の創業に参画。同社は、東証一部上場企業となる。その後、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役などを経て、現職。著作は40冊以上。2015年には銀座に「SHINOBY`S BAR 銀座」をオープン。無料のメールマガジン「資産デザイン研究所メール」は購読者が約47,000人という人気

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