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中古1棟物件 vol.4

資産デザイン研究所代表の内藤忍氏が、各界のプロフェッショナルと投資談議に花を咲かせる、この企画。6月は国内中古1棟不動産投資をトピックに対談を進めきたが、締めくくりとなる今回は、融資と取得後のマネジメントについて、金田氏からアドバイスを伺った。(vol.1から見る

内藤氏&金田氏4

銀行融資はケースバイケース

内藤 不動産投資では、物件の目利きだけではなく、資金調達も重要なポイントです。金融機関をグループ化すると、最上位がメガバンク、次いで大手・準大手の都銀や地銀、さらには信金・信組、ノンバンクがあります。それぞれ金利水準や融資姿勢は異なり、メガバンクなら金利1%台でも、ノンバンクなら3%台。可能な借入期間も違います。こういった借入戦略も考慮しないと、良い物件を買ったとしてもローン返済で苦労するかもしれません。その点は、どう考えればいいのでしょうか。

金田 面白いことに、属性の高い人がメガバンクで借りればいいかというと、必ずしもそうではありません。と言うのは、メガバンクで融資を受けるには多くの自己資金(2割~3割)を入れるのが一般的で、低金利であっても返済期間が短いですね。購入時に自己資金を抑えたい人にとってはミスマッチです。

各金融機関では不動産投資向けの金融商品を用意していますが、それぞれポジショニングがあり、メガバンクは低金利ですが返済期間が短く、自己資金を求められるのが通例。物件評価も厳しいです。

一方で地方銀行、信用金庫、ノンバンクなどは、金利が高くても返済期間が長くなるのでキャッシュフローが出やすくなり、物件も高く評価する分、購入時の自己資金は抑えられます。結果的にメガバンクでの借入よりもキャッシュフローが出て、かつ、2棟目、3棟目につなげることができることになります。属性が良い=メガバンク向きとは限りません。

内藤 金利が1%でも返済期間が20年、対して4%で35年返済なら、キャッシュフローの観点で、後者を選んだほうが良いこともあるのですね。その方が、次の物件を買う時に有利に働くことがあるでしょうし、不動産融資には自己資金比率と融資期間にも注目しないといけません。

金田 借入金利はひとつの要素にしか過ぎませんし、それを理解して投資に臨むことが成否を握っています。私としては、自己資金はなるべく少なく、手元にキャッシュを残して取り組むのがポイントだと考えています。次の手を打つ選択肢が広がりますね。

内藤 不動産は、購入後のマネジメントも大事です。例えば、管理が悪く、廊下はボロボロ。空室率30%の物件を買ったとします。そこで部屋を埋めるために、何をすべきか。お金を過剰にかけると収益性が悪化しますし、意味のあるリノベーションが求められます。オーナーチェンジの中古ワンルームだと客付は不要で共用部は管理会社に任せられますが、1棟物件はそういきません。

金田 修繕には2つの必要性があります。

1つ目は建物の物理的な維持。物件購入時は建物共用部分修繕、屋上防水等の必須箇所はその修繕費分を価格交渉に織り込みます。それをすることにより取得後10年~15年は大規模修繕を負担することなく運営が可能になるのです。

内藤忍

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