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バンコクで見た格差社会の現状

バンコク 都心

直近はニュージーランドやオーストラリアなどオセアニアについて紹介してきましたが、今回は舞台を再びアジアに戻してバンコクです。2012年と少し古いデータですが、バンコクは都市別の日本人の長期滞在者数で上海(56,313人)、ロサンジェルス(43,507人)、ニューヨーク(42,375人)についで、35,243人と4位となっています。

今回、バンコクのインターにお子さんを通わせている日本人のメディア関係者に話を聞きましたが、バンコクには在留届を出していない日本人長期滞在者も多く、そうした人も含めると5万人近くがバンコクに長期滞在しているのではないかと話していました。上海の在留邦人は中国の景気後退により、米国の主要都市の在留邦人は円安・米ドル高により減少しているので、バンコクがグローバルで長期滞在者が最も多い都市になっているかもしれないとのことです。

シンガポールも大概日本人にとって暮らしやすい街だと感じていましたが、バンコクはそれを上回るかもしれません。今回話を聞いた日本人の方は、BTSのスクンビット線のプロンポン駅近くの高層コンドミニアムに住んでいますが、このあたりには日本人が多く住んでいるので、毎日築地から直送している魚屋さんがあったり、とんかつやお好み焼き、魚の塩焼きまで自宅に配送するサービスまであったりする上に、お手伝いさんも安価に利用できるので、東京よりもはるかに手間がかからずに日本食含めて楽しめると話していました。街中にもたくさんの日本食のレストランがあり、私も今回の訪問で初めて寿司をバンコクで食べましたが、とてもレベルが高く驚きました。

このように日本人が多いバンコクだけあって、インターナショナルスクール(インター)における日本人の存在感もそれなりにあります。今回、上記の知り合いの方が通う学校を取材しましたが、ちょうどお迎えの時間で日本人のお母さんを10人近く見かけました。取材していて興味深かったのは、王族を始め現地のエリートたちも子息をインターに通わせていることです。

日本はもちろん、シンガポールやマレーシアでも現地のエリートたちは現地校の中で優秀とされる学校に子息を通わせることが一般的です。グローバル教育に関心が深いビジネスエリートはもちろん、王族や政治家の子息までインターに通わせることが一般的であることに驚きました。

ただ、あまりにタイ人の生徒の割合が増えてしまうと、インターに通わせている意味がないと学校の評判が悪くなってしまいます。バンコクには50以上のインターがありますが、その中でグレードが高いとされる上位4-5校はタイ人の数を3割程度に抑えています。イートン・ハロウの英国王室の多くが通う2代名門校の片方である、ハロウがバンコクに分校を作って大きな話題となりましたが、ハロウ校は8割近くがタイ人となっているので、今のところ評判があまり芳しくないようです。

岡村聡

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