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東南アジアの不動産市況

ここまでの連載でも、私たちが生活しているシンガポールやジョホールを中心に不動産市場について何度か紹介をしてきましたが、今回は東南アジアの主要都市全般の不動産市況について解説します。

シンガポール 不動産

下記のグラフに、ここ3年間のアジアの主要都市における高級住宅の価格推移をまとめています。ナイト・フランク社が、各都市の価格で上位5%に入る高級な住宅の価格動向をまとめたプライム・グローバル・シティーズ指数を用いています。

こちらのグラフから分かるように、直近最も不動産市況が好調であったのはジャカルタで、年率20%以上のペースで高級住宅価格は上昇しています。不動産市況の変調が伝えられる中国ですが、グラフにもあるように上海など沿岸部の大都市の高級不動産価格は堅調です。次いで、バンコクの上昇幅が大きくなっています。

東南アジアグラフ

アベノミクスによる不動産市況の活性化と、円安による海外投資家からの資金流入により、上昇していると伝えられている東京の高級住宅ですが、ここ3年の上昇幅で見ても他のアジア主要都市と比較すると、特段好調な動きとは言えません。

一方、不動産価格の高騰が社会問題化していて、印紙税率のアップなど不動産価格の抑制策がとられているシンガポールや香港ではここ数年不動産価格は横ばい、もしくは下落しています。特に外国人の不動産の購入に対して18%の印紙税が導入されているシンガポールでは、ここ3年間の高級不動産の価格下落幅が30%近くに達しています。

それでも、円安もあり東京都心の物件と比較して、高級住宅は平米単価で1.5~2倍もしています。このような高い単価であるため、値段が下がってきたとはいえ日本の投資家のほとんどはシンガポールの高級住宅に投資することをためらっています。一方、為替が強く経済も好調で、さらにチャイナショック以降新興国からの資金流入が加速しているニューヨークやロンドンの不動産は、シンガポールはもちろん、香港の単価も上回ってきているので、欧米からの投資家からはシンガポール不動産に投資をする動きも広がっています。この動きを受けて、シンガポールの高級住宅の価格は今年に入ってから一部のエリアでは底打ちしてきています。

岡村聡

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