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シンガポール人のキャリアパス

シンガポールはグローバル都市といわれますが、特にインターナショナルスクール(インター)で両親同士交流しているとこのことを痛感します。我が家のように、夫婦2人とも同じ国(日本)の国籍を持ち、さらに子供も同じ国で生まれたというケースはほとんどありません。夫婦2人が別の国籍を有していることは一般的ですし、夫婦それぞれが複数の国籍を持ちながら、子供はさらに両親のどの国籍とも違う国で生まれたというケースも珍しくありません。

エンリッチ コラム シンガポール

今回はこうしたグローバルなシンガポール人のキャリアパスを紹介したいと思います。インターに多様な国からの生徒が集まり、グローバルに羽ばたいていくのは当然ですが、シンガポールのローカル校の出身者もグローバルに活動しています。

シンガポールのローカル校出身者に話を聞くと、ローカル校の中でも進学校とされる学力レベルが高い学校では、8割近くが海外に留学するそうです。海外の中でも元宗主国である英国のオックスフォードやケンブリッジが人気で、それ以外の国では米国やオーストラリアが多いようです。必然的に、卒業後もグローバルに就職する同級生が多く、自然と世界中にネットワークが広がっていくようです。

シンガポールに戻ってきている友人たちには官公庁や政府系ファンドに就職する人が多いようです。日本と異なって、シンガポールの公務員たちの給与は、トップクラスの投資銀行や法律事務所の同年代の給与とそん色がないように定められているので高給です。日本では、外資系企業や商社、銀行で働いた場合と比較して、同年代で良くて半分、下手をすると4~5分の1しか給与がもらえないため、キャリア官僚になりたい志願者は減ってきています。

また、キャリア官僚となったとしても、MBAや政治大学院に留学した後に転職する例も後をたちません。一方、シンガポールの公務員は上記のように待遇面で恵まれているだけではなく、民間の仕事に数年従事した後にまた復帰できるなど、キャリアパスが複線化していることもあり、非常に人気の職種となっています。

そもそも、シンガポールのローカル校の教育は、小さいころからシンガポールの国家を担う人材を育てるべく設計されています。シンガポールのローカル校では、小学校低学年から競争主義が徹底されていて、知り合いの日本人のお子さんが通う小学校では小学校2年生の終わりに学力テストがあり、3年生から学力別のクラス分けとなるだけでなく、教科書も学力によって変わってきます。

岡村聡

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