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シンガポール人のキャリアパス

10歳になると、シンガポール全土からトップ1%を選ぶGEP(Gifted Education Programme)という、天才児認定テストがはじまります。GEPに選抜されると、小学校5年生からGEPに選ばれた子供だけのクラスで教育を受け、中学・高校と学力レベルを維持できれば、専用クラスでの教育を受けられます。GEPには外国人の子供も認定されますが、基本的にはシンガポールの次代を担うエリートを選抜する役割を果たしています。GEPの子供たちの多くは奨学金をもらって欧米の名門大学に留学した後に、シンガポールに戻ってきて官職につきます。

名門校 ST ANDREW'S JUNIOR SCHOOL
名門校のST ANDREW’S JUNIOR SCHOOL

GEPは一部の成績優秀者だけが対象ですが、12歳の小学校卒業時にはPSLEという全国統一テストがあり、この成績により進学できる中学校が決まります。小学校はこのPSLEで成績上位者を何人出すかを競っており、日本の難関大学の合格者ランキングのような盛り上がりとなっています。

PSLEで上位だった子供たちが進学する名門中学校に入ってからも、厳しい競争は続きます。こうした中学校でもクラス分けは学力により行われ、ランクによって履修できる科目数が異なってきます。必然的に成績下位のクラスから上位のクラスにアップできたとしても、履修科目数が増え今まで習っていなかった科目でも良い成績を維持できなければ上位クラスを維持できないため、下位から上位にあがりさらにそのクラスを維持するケースはほとんどないようです。

さらには、こうした名門中学校には他の学校からの転校希望も多く、学校側も進学実績の改善につながる成績優秀者の転校には積極的であるため、成績上位クラスの10%くらいは毎年他校からの転校生と入れ替わっていくようです。PSLEで好成績を残して名門中学校の成績上位クラスに入っても、半分近くは中学・高校の間に下位のクラスに落ちてしまうということになります。

GEPに認定された生徒をはじめ、シンガポールの名門ローカル校の卒業生の多くは欧米の名門大学に進学しますが、シンガポールの大学もシンガポール国立大学(NUS)を始め評価を高めています。グローバルの大学ランキングで最も権威があるとされるThe Times Higher Educationのランキングでは、NUSは世界25位と23位の東大に続いてアジア2位となっています。NUSは、大学ランキングを上げることを全学のミッションとしているため、東大を抜いてアジア1位となるのも時間の問題でしょう。

岡村聡

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