ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

「自立型組織」は本当に必要か?

metal_jiritsugata

メンタルトレーナーの高畑好秀氏が、悩めるエンリッチにアドバイスする本コラム。意外な視点からの言葉に、思わずハッとさせられるかもしれません。今回のテーマは「自立型組織」です。ビジネスの現場でみずから動く社員がいると組織の活性化に繋がりそうですが、果たしてそれだけでいいのでしょうか。

自立型社員が増えすぎると
組織が成立しなくなる可能性が……

社員がみずから考えて行動する――いわゆる「自立型組織」が求められています。確かに、事細かに支持しなくても的確に動くスタッフがいると効率的で、余計な口出しをする必要もなくなり、お互いにストレスがたまりません。一方で「依存型組織」だと、いつまでたっても社員は指示待ちになってしまい、組織の活性化を阻む要因になる可能性は高いでしょう。

ただし気を付けたいのは、自立型社員ばかりいると、組織が崩れるかもしれないということです。というのも、独力で立ち回れる社員であれば、おのずと独立心や上昇志向が生まれ、より待遇のいい会社に転職したり、それこそ起業する可能性があります。下手をすると、ライバルとして台頭するかもしれません。誰にも承認欲求はあり、「好きなことで稼ぎたい」という理想が叶うなら、自立志向でビジネスにまい進するでしょう。多くのアスリートもそうで、彼らは長い時間を費やしてきた競技に愛着がありますから勝利に対する欲求は並々ならず、成長に対しても高い意欲を持ち続けています。むしろ、それがなくなると引退の引き金に……。高い自立意識がモチベーションを支えています。

日本のサラリーマンは「仕事はつらいもの」と思う人が多いようですが、起業家が「仕事好き」であるように、自立型社員もビジネスに生きがいを感じるタイプです。そういった点では似たもの同士かもしれませんが、それゆえに意見がぶつかったり、離職につながる可能性もあります。

そうしないためには、トップの人間性や魅力を磨き続け、社員の待遇もつねに見直さないといけませんし、自立型と依存型社員のバランスも考えないといけません。すべての社員が自立型に向いているとは限りませんし、依存型だからこそ安心して働き続け、それなりのパフォーマンスを維持する人もいるはずです。それぞれの個性と適性を見極めて育成・配置する手腕も経営者やビジネスリーダーには求められます。

高畑好秀

Return Top