労働の流動化が進むからこそ
求める“人材像”を明示しておくこと
日本型の終身雇用制度や年功序列は解消されつつあり、労働の流動化には拍車がかかるばかりです。政府も「働き方改革」を推進する中で、転職のしやすさを課題のひとつに挙げています。そうなると、能力の高い自立型社員は、より好待遇で雇ってくれる会社に移っていくでしょう。ただでさえ人材不足の昨今、人事の最適化ができない組織は姿を消していくのかもしれません。
そうであれば、自社のビジネスと照らし合わせ「どういった人材が必要なのか」「どう育てていくのか」は、採用時に明示しておくべきです。あるいは、組織としての「理念」を掲げておくことで、ミスマッチは避けられます。例えばリクルートであれば、アントレプレナーシップに溢れた人材を好み、実際に同社出身の起業家はたくさんいます。社員も在籍時にスキルを磨き人脈を築いておこうと考えていて、だからこそ能力を発揮するといえるでしょう。経営者と労働者のニーズがマッチすると、「この会社で働く」というベースの部分でストレスもかかりません。
事業にスピード感が必要であったり、チームに裁量を持たせるなら自立型社員は有用でしょうし、自立型組織はビジネスをけん引させます。一方で、ルーティンワークがメインなら、自立型でなくても辞めないで働き続けてくれる社員がいると安心です。
あるいは、近年は特定のビジネスや業務に長けた人材を期間やプロジェクト単位で派遣する「プロフェッショナル派遣」も増えています。こういったサービスを活用して、一時的に組織力を底上げし、周りの社員にも学んでもらうこともできそうです。
いずれにしても、労働や人材が流動化していくからこそ、組織における人材配置・バランスは重要になっていきます。経営者であれば自身が求める方向性、成長のプロセスなどを自問自答し、具体策に落とし込んでいくことです。
*この記事は2018年12月に掲載されたものです
一流だけが知っている自分の限界を超える方法
KADOKAWA/中経出版 1,404円
名だたるトップアスリートが指名するメンタルトレーナーである著者が、彼らと真剣に向き合う中で見出した「人間は本来負けたがっている」というオリジナルのスポーツ心理学をベースに、「勝ち」への執着を捨て、限界突破のための「負け」を知る究極の方法を説く。
高畑好秀 公式サイト: www.takahata-mental.com