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The Style Concierge

これからの資産形成には
ファミリービジネスの感覚が必要 4/4

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前回は、新しい事業などにチャレンジする時には、夫婦の協力関係が重要になるという話をした。最近では子供もこの仲間に加わり、家族全体でビジネスに取り組むケースが増えてきている。ファミリービジネスに関する連載の最終回は、こうした新しい時代における子供のマネー教育について解説する。

*この記事は2016年8月に掲載されたものです。

マネー教育よりもビジネス教育の方が重要

日本では子供にお金の話をすることは基本的にタブー視されてきた。しかし、お金の話がタブーということは、実は多くの人が、お金に対して強い執着を持っていることの裏返しでもある。最近では、こうした風潮に対する反動からか、子供に投資などマネー教育をすることが必要という声も上がっているようである。

お金の話をタブー視することが子供の教育という点において、あまりよい結果をもたらさないのは間違いないだろう。大人になれば、結局、人はお金の問題に直面することになり、その時になって、はじめてお金について考えるという状況では、あまりにも免疫がなさ過ぎるからだ。

また、お金を過度にタブー視してしまうと、お金が欲しいという自身の感情と折り合いを付けることが難しくなってしまう。その結果、成功して大きな富を得た人を感情的に批判してしまうなど、間違った方向にベクトルが向いてしまいがちである。

ただ、子供のうちからダイレクトなマネー教育をした方がよいのかについては、様々な意見がある。実際、富裕層の人の中でも意見は割れており、マネーゲーム的な話は大人になってからで十分だという人もいれば、子供のうちから株式投資をやらせるという人もいます。このあたりについては、親の価値観次第ということになるのかもしれない。

筆者自身は、日本では投資教育の有無というよりも、働いてお金を稼ぐことの意味を教える機会が少ないことについて非常に危惧している。
 
投資した会社の株が上がるということは、その会社が、儲かっているということであり、それは顧客が喜ぶ製品やサービスを提供した結果でもある。あくまで株価の上昇やそれに伴うキャピタルゲインは、顧客が求める製品やサービスを提供した結果に過ぎない。

ビジネスや投資の基本は、多くの人が喜ぶ製品やサービスを提供するということであり、それを実現することで対価が発生するという仕組みについては、子供のうちから理解しておいて損はないはずだ。

またお金をもらうということは、責任が発生するということでもあり、お金のことについてしっかりとした対応ができないということは、責任感の欠如につながる可能性が高い。このメカニズムについても、子供のうちからしっかりと理解させておくことが重要だろう。

加谷珪一

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