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The Style Concierge

これからの資産形成には
ファミリービジネスの感覚が必要 2/4

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前回は、家族全体の収益を最大化させるという観点から、お小遣い制の是非について解説した。今回は、家族の資産管理についての話である。ファミリービジネスという感覚を持ち、家族の収益を最大化させるためには、資産の管理はできるだけ共通にしておく方が望ましい。

*この記事は2016年7月に掲載されたものです。

お金という資産だけでなく、
能力という資産も共同で運用する

夫婦の資産をどう管理するのかついては、いろいろな考え方がある。夫婦によって、経済的な価値観は様々なので、一概に結論を出すことは難しいかもしれない。しかし、夫婦の資産を最大化するという視点に立った場合、夫婦の財産管理は共通化した方が圧倒的にメリットが大きい。

お金を運用する場合には、総額が大きい方が圧倒的に有利になる。投資やビジネスのチャンスはいつやってくるか分からない。必要と判断された時には、ごく短時間でキャッシュを集めるといったメリハリのある動きが重要となってくる。

一緒に生活していても、お金の管理はすべてバラバラという夫婦は少なくないのだが、夫婦の資産管理が別々になっていると、こうした機動的な動きにはなかなか対応できない。夫婦二人の財布を合算すればそれなりの金額になっていたとしても、そのメリットを生かせないことも十分に考えられる。

それ以上に重要となってくるのがお金という金融資産だけでなく「個人の能力」というもっと大事な資産の管理である。

お金の管理が共通になっていないと、お互いの仕事の計画や、キャリア形成も別々に行われることになってしまう。それはそれでよいのだが、せっかく一緒に住んでいるのに、2人の力を合算できないのは非常にもったいないことである。お互いがお互いの能力を引き出し合う関係を作ることができれば、二人が生み出す力は極めて大きなものとなる。

つまり、夫婦のお金を一元管理することには別の作用があり、最終的には、夫と妻に加えて夫婦という第3の稼ぎ手を生み出すことにつながってくるのだ。

加谷珪一

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