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独立や起業で失敗する人のパターン

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*2015年10月15日掲載。再構成してお届けします。

サラリーマンという働き方をやめ、自身でお金を稼ぐというのは、短期間で資産を作る有力な手段である。だが当然のことながら、独立や起業にはリスクが伴う。(シリーズ初回から読む

ただでさえリスクが大きいのに、結果がマイナスになるような行動を取っていては、成功確率はさらに小さくなってしまう。大きな成功を勝ち取ることも重要だが、失敗を可能な限り回避することはもっと重要である。

成功はいろいろ、失敗はどれも同じ

成功には様々なパターンがあるが、失敗するパターンは限られている。独立や起業で失敗する人の半分以上は、失敗するべくして失敗している。ここをカバーすることができれば、成功の確率を上げることができるのだが、多くの人にとって意外と難しいことのようだ。

独立や起業で失敗する人のほとんどは、ゲームのルールが変わったことを理解できず、サラリーマン時代と同じような感覚で仕事を進めてしまう。これが最大の原因である。

それなりの会社に入っていれば、対外的な信用は自動的に付いてくる。よい製品やサービスを提供していれば何とかビジネスとして成立する。しかし、独立したり、ゼロからベンチャー企業を立ち上げるとなるとそうはいかない。

特に日本の場合、保守的な社会風土であり、安くていいものを作れば、ビジネスになるというのは完全な幻想と言ってよい。画期的な製品やサービスを提案し、顧客の担当者が納得しても、社内で「こんな会社に発注して大丈夫か?」と言われ、全否定されてしまうというのがオチである。

ここで失敗しないためには、相手の立場で物事を考えることが重要となる。

日本の企業社会は、基本的に減点方式となっており、抜群の実績を上げるより、失敗をしないことの方がずっと大事である。そのような社会風土の中において、立ち上がったばかりで実績もない、いつ倒産するのかも分からない会社に相手の担当者は発注しなければいけない。

製品やサービスを売り込む側はこの現実をよくよく理解する必要がある。

人の採用も同じである。自分では思い入れのある事業でも、求人に応募してくる求職者からすれば、見たことも聞いたこともない会社である。普通の条件を提示しただけでは、マイナスの印象にしかならないと考えるべきである。

独立・起業するということは、こうした障害が山のように立ちはだかることを意味しているが、失敗してしまう人は、こうした事態をあらかじめ想定していない。思うようにモノが売れず、その結果、資金ショートを起こしてしまう。

要するに、こうした事態を事前に予測し、対策を練っておくことができるのかどうかで、ビジネスの成否はまったく違ったものになる。多くの人が、この部分をクリアできず、スタートラインに立てずに終わってしまう。

加谷珪一

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