ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

フェラーリ
カリフォルニアT HS

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フェラーリのイメージは人それぞれだと思うが、知れば知るほどこの会社ほどマーケティングを熟知しているところはないのではと思える。世界中のフェラーリ好き、いやいやクルマ好きがなにを欲しているのかを彼らはよく分析しているようだ。

今回イタリアの地中海に面した港町ジェノヴァで試乗したカリフォルニアT HSはまさにそんなクルマだ。マーケットニーズに応えるように開発そして発売に至った。HSは“ハンドリング スペチアーレ”を意味する。要するにハンドリング性能を高めたということだ。

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ただ、HSの冠を付けたのはこれがはじめてではない。カリフォルニアの進化版カリフォルニア30(サーティ)にもそれはあった。2012年モデルだ。スタンダードモデルの足と異なるバネレートとマグネチックライドコントロール、それとステアリングレシオを変えていた。

マーケティングの話をしたのは、今回のプレゼンテーションで彼らが最初に言ったセリフが印象的だったからである。V8エンジンを搭載したFRの誕生がそれまでのフェラーリの顧客を50%増やしたと彼らは言った。つまり、新規の顧客開発に成功したのである。そしてその層は見事に他のセグメントのGTカーから取り込んでいる。V8ミッドシップフェラーリでは奪えなかったものだ。

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もちろん、その求心力はフェラーリというブランド力も大きく関係する。スポーツカーやスーパーカーはいらないという人もGTカーのフェラーリだったら一度は乗ってみようと思うのは不思議ではない。ただ、ハードルを低くして取り込んだ顧客も徐々にフェラーリらしさが欲しくなる。そこで、カリフォルニアからカリフォルニア30とし、マイナーチェンジでカリフォルニアTを登場させ今回のHSへと進展させた。まさにニーズに応えるかのように……。ちなみにカリフォルニア30の“30”は30馬力アップと30kgのダイエットを表している。

九島辰也

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