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フェラーリ GTC4ルッソT

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ウルトララグジュアリーブランドのSUVモデルが話題になっている昨今だが、このクラスには“グランドツーリズモ”なるカテゴリーが根付いている。レーシーな2シーターモデルと同等もしくはそれに近いパフォーマンスを持ったグランドツアラーだ。

例えばそれは、このクラスを象徴するフェラーリにもある。2+2のパッケージングを持ったものがソレで、このブランドの場合はフロントに12気筒エンジンを搭載した後輪駆動が基本形。近年では550マラネロや612スカリエッティがそのポジションにあった。

そしてそれがFF(フォー)の登場でスタイリングを一新する。これまでのクーペボディからスポーツワゴンへと変身。一部ではシューティングブレークとも呼ばれるカーゴスペースを持ったカタチへと進化したのだ。

そんな流れの中で生まれたのがGTC4ルッソである。12気筒エンジンをフロントミッドにマウントした2ボックスのGTカーだ。ただ、今回はそれで終わらなかった。なんと同じボディにV8エンジンを搭載したGTC4ルッソTを追加したのである。発表されたのは昨年9月。パリモーターショーでのことだ。

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そのGTC4ルッソTにイタリアで試乗した。フィレンツェの南シエナを起点としたトスカーナドライブ。高速道路とワインディング、歴史ある市街地を走り回った。

このV8エンジンは、488GTBやカリフォルニアTに通じる。ダウンサイジングした3.9リッターユニットをターボで過給した。長年自然吸気エンジンを主体としてきたフェラーリだが、このところのターボ化は著しい。パワーは610馬力、最高速度は320km/hに達する。ちなみにV12の最高出力は690馬力、最高速度は335km/hとなる。

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大きく変わるのは駆動方式だろう。V8モデルはFF(フォー)からはじまったV12+4WDという図式とは別のRWDとなる。ただ、4輪操舵システムは採用される。実際、Uターンの場面でそれは効力をみせた。一見して切り返しが必要な道幅でステアリングをフルロックするとスッと向きを変えたのだ。5m近い全長と2mに届きそうな全幅、さらには3m弱のホイールベースというサイズに対し、このメリットは大きい。

九島辰也

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