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スクーデリア・フェラーリ創立90周年と「SF90ストラダーレ」

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当連載のテーマが「フェラーリ By Numbers」であることからも解るように、フェラーリのアイコニックな数字にかける拘りは並大抵のものでない。

フェラーリの場合、ある数字が出てきた時、それはその後のモデル展開などに必ず強い繋がりが生まれる。少し時間は遡るが今年の2月、今シーズンのニューF1マシンの発表が行われた。その名もフェラーリ・SF90。いうまでもなくSFはスクーデリア・フェラーリ、フェラーリによるワークス・チームの名称であり、世界中が熱狂するフェラーリF1とはこのスクーデリア・フェラーリのことである。

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そしてSFに続く90とはなんであろう?そう、この数字はスクーデリア・フェラーリ創立90周年を記念するという意味であると説明されたのだった。フェラーリ社自体は戦後に設立された自動車メーカーであり、少し前に創立70周年を祝ったところだ。しかしエンツォ・フェラーリが作ったレーシング・チーム、スクーデリア・フェラーリは1929年が創立年にあたる。

フェラーリ曰く、こういうことだ。

「1929年11月16日、ジェントルマン・ドライバー達がレースで優れたパフォーマンスを発揮すると確信したエンツォ・フェラーリは、モデナにスクーデリア・フェラーリを設立しました。このスクーデリア・フェラーリは、忘れることのできない数多くの物語をモータースポーツの歴史に刻むこととなります。アルファロメオを使用していた当初のチームは、Societa Anonima Scuderia Ferrari (スクーデリア・フェラーリ株式会社)と名乗っていました。

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当時、あらゆるカテゴリーのトップドライバーに対して次々に車両を託すと、イタリア国内はもとより、世界の舞台で劇的な躍進を遂げます。1930年のミッレミリアでデビューしたのち、スクーデリア・フェラーリは、タルガ・フローリオやヒルクライムレースであるトリエステ-オピチーナなどに参戦しました。トリエステ-オピチーナは、タツィオ・ヌヴォラーリがチームに初優勝をもたらしたレースです。また、ル・マン24時間、デイトナ、スパ、セブリング12時間を含むクラシック耐久レースにも進出しています。F1への参戦は言うまでもありません。」

つまり、アルファロメオ製マシンを用いてレース活動全般のサービスを行ったのが創立当時のエンツォ・フェラーリであった。そして、今年がその創立以来90周年にあたるという訳だ。

そういったストーリーを作るとフェラーリの展開は素早い。自動車ミュージアムとして世界有数の入場者数を誇るマラネッロのフェラーリ・ミュージアムは”90周年”一色になる。「2019年6月6日、マラネッロ発スクーデリア・フェラーリ、それはモータースポーツを象徴する偉大な名前のひとつであるとともに、1つの国そして世界中から集まった何百万人ものファンの心をまとめることのできる存在です。そのスクーデリア・フェラーリが、2019年に90周年を迎えます。マラネッロのフェラーリ・ミュージアムは、これを大規模な記念展で祝します。」と、早速、特別展示がはじまった。

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世界中が注目するフェラーリF1をSF90とネーミングし、聖地であるフェラーリ・ミュージアムにてスクーデリア・フェラーリ90周年をフィーチャーする・・・。そうなれば、それらの”刷り込み”をビジネスとして回収するのは、一般顧客に販売するロードカーである。

エンリッチ編集部

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