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アートフェア東京2026を歩く <後編>

Artfair2026

3月12日~14日の3日間にわたって開催された「アートフェア東京2026」。前編に続き、編集部が印象的だと感じた作品をピックアップ。「アートの今」をお届けします。( → 前編を読む

数字を描き、壮大なアートプロジェクトへ繋げる

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こちらは、銀座・青山・虎ノ門にギャラリーを構える「アキオナガサワギャラリー」のブース。

アートフェア東京2026のメインビジュアルにも起用されたアーティスト・宮島達夫の作品群が並んでいます。

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© Tatsuo Miyajima. Courtesy of Akio Nagasawa Gallery.

「それは変わりつづける」、「それはあらゆるものと関係を結ぶ」、「それは永遠に続く」という3つのコンセプトに基づき、人間の生命をデジタル数字で表現するアートが特徴です。

人間のライフサイクルには人それぞれ異なる段階があり、4の段階・5の段階・6の段階の人など、個々の数字を持つ人々が関係を結んで社会を作っていくと考え、「0」は彼にとって「死」を表しているそう。0と描くと「Nothing」になってしまうので、空白の状態「Empty」にすることでこれからまた生まれてくる可能性を表現しています。

数字が並ぶ行数にも意味が込められており、その時々の社会状況や地域・人間関係の変化をメタファーとして表しているとのこと、見れば見るほど奥深い作品です。

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空白部分は0を表す

記す数字はサイコロを振ってランダムシステムで選んでおり、自分の主観を含めずに偶然性を入れることで「自分の知らない自分」をまた発見し、作品に新しい生命を落とし込むことができるそうです。

サイコロといえば、観客と作品が共鳴したユニークなアートも。

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デモンストレーションしてくださったオーナーの長澤章夫氏

ISSEY MIYAKEのテキスタイルをまとった平面のパーツ作品で、サイコロを振り、出た目に合わせてパーツを組み替えることで「その日の自分」を表す数字が完成します。

最初は「8」の数字がディスプレイされていましたが、サイコロを振ると……

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「6」が出ました。

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出た目に合わせてパーツを配置することで、自分の数字が完成します。

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すり減るような日常のなかで、アートと触れ合うことで自分を鼓舞し、「もっと豊かに生きていこう」と気づかせてくれるきっかけになる作品です。

そして、「観客も当事者となり1つのアートを生み出す手法」を壮大に体現した作品への挑戦として始動した「時の海 – 東北」プロジェクトも、彼のアートを語るうえで欠かせません。

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この日は宮島達夫氏本人もブースに。思いを伺うことができました。

2011年3月に起きた東日本大震災。犠牲者への鎮魂と震災の記憶の継承、これからの未来を共に創ることを願って3,000人と制作するアートプロジェクトで、個々が自由な速度にセッティングした3,000個のLEDカウンターガジェットを巨大な水盤に敷き詰め、静かに波打つ東北の海を表現するという試みです。

作品の名前は「Sea of Time – TOHOKU」。恒久設置する美術館を福島県・富岡町に建設予定で、2年後の完成を目指しています。

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ファンドレイジングの一環として、「時の海 – 東北」プロジェクトのために新たに制作されたオリジナルの版画作品「Numerical print for Sea of Time – TOHOKU」も販売中。

壮大なアートプロジェクトが実現する日が近づいています。

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エンリッチ編集部

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