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499台 フェラーリの生産台数が中途半端なワケ

ラ・フェラーリの販売台数は
ぴったり手前の499台

2013年のジュネーヴモーターショーでフェラーリ初の市販ハイブリッドスーパーカーが発表された。その名もラ・フェラーリである。

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ラ・フェラーリ

6262cc・V型12気筒の大排気量エンジンと高出力モーターの組み合わせによって最大963馬力(エンジン800馬力+モーター163馬力)、最大トルク900Nm以上というとてつもないパワーをたたき出す。F1マシンと同じ工程で造られたというカーボンモノコックボディの採用など、まさに技術の粋を極めたモデルだ。このフェラーリ・スペチアーレ=限定生産モデルは、フェラーリ史の節目となるような年を祝うべく発表される。しかしどの場合も大々的にそのモデルの存在が明らかになった時には“完売御礼”となっているのだ。それではいったいどんな人がオーナーとなることができるのだろうか。

そこではフェラーリ・オーナーとしての忠誠心が何より重要だ。つまり正規ディーラーから新車で何台かの“フツウ”のフェラーリを買った上で、エンツォ・フェラーリといったスペチアーレも合わせて手に入れていることが最低条件となる。そういった条件を満たした優良顧客を各ディーラーはセレクトし、実車のデザインすらよく解っていない時点で、彼らにこっそりとアプローチを行う。しかし、そこでもし、あなたが“よし、買った!”と叫んだとしても、必ずしも手に入れることはできない。なぜなら、その候補顧客のリストは再びマラネッロの本社へフィードバックされ、様々な要素でこのモデルの顧客にふさわしいかどうかが吟味されるのだ。まったくクルマ一台買うのもたいへんなことである。

もちろん、このラ・フェラーリは100万ユーロ(約1億6千万円)の価格にもかかわらず完売となった。もう売れてしまっているから関係ないとも言えるが、その販売台数は499台という中途半端な台数である。なぜ彼らはそんな数字を設定するのであろうか?

前述のように、今やフェラーリのスペチアーレを手に入れるのはそう簡単ではない。F50以降、歴代フェラーリ・スペチアーレを入手するには様々な〝儀式〞が必要となり、たとえどんなにお金があろうとも簡単に手に入れる訳にはいかない。しかし1987年に発表されたスペチアーレ、F40の頃はここまで厳密ではなかった。

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フェラーリF40

もちろん、フェラーリF40も、ごく少量の生産が当初謳われたが、世界的景気上昇や日本のバブル景気などもあり、オーダーが殺到し、結果的に1000台を超える数量が生産された。すると、中古車市場には転売益を求めたオーナーが手放したF40がゴロゴロと現れた。特別な人だけが買うことのできるフェラーリの中でも特に希少な存在であるスペチアーレの意義が薄れてしまうことが危惧される事態となった。そのためにフェラーリは“原点回帰”を宣言した。

エンリッチ編集部

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