ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

2017年 新春特別編 3/4

エンリッチ マネーカフェ 201701−3

資産デザイン研究所代表の内藤忍氏が、各界のプロフェッショナルをお招きして、資産運用にまつわる旬のトピックを取り上げる、本連載。1月は「新春特別編」をお送りしているが、今回は日本国内の不動産投資環境の変化などについて言及しよう。(新春特別編 1/4)ーーー

超低金利の継続で
銀行の融資姿勢に変化?

ご存知の通り、日本では超低金利が続いていますが、そこで考えられるひとつの懸念が、銀行の融資姿勢に変化が起きるということです。

ここ数年、融資を付けて空き地に収益物件を建てる地主が増えたものの、家賃が入らずアパートローンの不良債権化という問題が起き始めています。すると、慎重に投資をした方がいいということで、頭金をたくさん入れる、担保価値評価をかために見積もるなど、不動産融資に規制がかかる可能性も…。資金を借りにくくなった結果、不動産投資の機会も減り、需要の弱まりから物件価格が調整するリスクがあると考えた方がいいでしょう。しかし、すべての不動産が同じ動きをする訳では無く、立地や物件の種類によって変わってくると予想します。

まず、都心のマイホーム向けマンションは価格が高止まっています。マイホーム用の住宅価格はサラリーマンの年収によって上限があるので、これ以上価格があがれば購入層が限られてくるからです。

例えばローンの上限が年収の5倍なら、年収1000万円の人が借りられるのは5000万円となり、それ以上の金額になると頭金を多く用意するしか方法がなくなります。年収が1200万円になれば借入金も6000万円まで引き上げられるでしょうが、いまはほとんどのサラリーマンの給与は上がりにくく、物件価格が上昇したところで、いまの収入では手が届かなくなってしまいます。マイホーム向けの都心物件では、こういった状況がしばらく続く可能性があると思います。

一方で投資用物件は利回りと借入金利の差、利回りで融資がつくので、金利が上がらなければ物件価格はいまの水準が維持される可能性が高いでしょう。あるいは円安が進行すると、一時期に中国人の爆買いが取りざたされましたが、またもや海外から日本の不動産を買うような資金が入ってくることも。為替の面でリーズナブル、香港やシンガポールに比べると利回りも高く、かつそこから為替が動くと差益も狙えます。そういった意味で、いくらか調整しても下支えはあると思います。

日本人投資家にとって重要なのは、銀行から融資がつくかどうかといったところでしょう。金利に関しては日銀が長期金利を抑え込んでいる限り、ここ数年で上昇の心配はありません。ただし、場所を絞るなど投資対象をセレクティブに行わないと、空室リスクに悩まされかねません。

内藤忍

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