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2017年 新春特別編 3/4

制度を積極的に利用した
資産運用が求められるように

マネーカフェ 1701 3

2016年はロボアドバイザーを使った金融サービスやクラウドファンディングが浸透するなど、新たな資産運用の手段が登場しました。こういった流れはますます加速していくと思います。

さらに今年、金融資産の運用で知っておくべきなのは「個人型確定拠出年金(iDeCo)」です。確定拠出年金とは、投資信託など自分自身で運用する金融商品を決め、毎月一定額で積み立てて60歳以降に年金として受け取る制度のこと。企業型と個人型があり、これまで後者は自営業や企業年金のない中小企業のサラリーマンなど、一部の人しか利用できませんでしたが、今年から加入範囲が拡大し、これまでの対象者に加えて、企業年金加入者、公務員等共済加入者、私学共済加入者、専業主婦なども始められるようになります。

最大の特長は節税メリットが高いことです。毎月積み立てる掛金(拠出金)は全額所得控除の対象で、運用益も非課税、老後に受け取る際も公的年金等控除、退職所得控除が適用されるので、かなりの節税効果が期待できるでしょう。自営業(月6万8000円まで)、会社員(月1万2000円~2万3000円)など立場によって毎月の掛金上限は異なりますが、積み立て・運用・受け取りのタイミングでメリットが得られますから、積極的に利用したいところです。

同じ日経平均株価に連動する投資信託を買ったとしても、個人型確定拠出年金、NISA、普通の証券口座では値上がり時の税金の扱いや住民税も変わってきますから、使う順番としては、個人型確定拠出年金、NISA、最後に普通の証券口座がお勧めです。

「何に投資をするか」というアセットアロケーションは大事ですが、その前に、どの制度を活用するかも、今後は重要なポイント。個人型確定拠出年金は立場によって掛金上限が異なる、60歳までに始めないといけないといった注意点はありますが、非常に魅力的な運用プラットフォームといえるでしょう。

ーーー国内不動産投資、あるいは投資信託など、あらゆる投資対象に変化が訪れそうな2017年。しっかりと環境や制度を学んだうえでトライしたい。次回、特別編の最後は、これまでの話を総括する。

内藤 忍 (ないとう しのぶ)

株式会社資産デザイン研究所代表取締役社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、金融機関勤務を経て1999年にマネックス証券の創業に参画。同社は、東証一部上場企業となる。その後、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役などを経て、現職。著作は40冊以上。2015年には銀座に「SHINOBY`S BAR 銀座」をオープン。無料のメールマガジン「資産デザイン研究所メール」は購読者が約47,000人という人気

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