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クラウドファンディング Vol.2

資産デザイン研究所代表の内藤忍氏が、各界のプロフェッショナルと投資談議に花を咲かせる、この企画。8月は、「クラウドクレジット」の杉山智行社長をお招きして、クラウドファンディングをテーマに対談を行っている。このビジネスを通じて社会貢献を目指したいと語る杉山氏だが、今回は企業に至るまでのヒストリーを伺った。(Vol.1から読む)

金融機関での経験が、起業へのヒントに

エンリッチ マネーカフェ8月 2

内藤 クラウドクレジットを設立してから、約2年が経ちました。そもそも、なぜクラウドファンディングで起業しようと考えたのでしょうか。

杉山 学生時代から金融機関に勤めたいと思っていて、新卒入社したのが、大和証券SMBCでした。興味のあった金利為替のヘッジファンド業務に就きましたが、実際に担当してみると、効率的になってしまっている市場で、実需のお金の流れを理解することなくヘッジファンド業務を行うのは困難と感じました。そこで、イギリスのリテール銀行であるロイズ銀行に転職したのです。当時はリーマンショック前でイギリスの銀行でも比較的余裕資金があり、3600億円の資金の運用を任せていただきました。その後、リーマンショックが起きたりするのですが、学んだのは日本と海外の銀行の違いについてです。

わかったのは、日本の銀行はお金が余っているのに借り手が少なく、他方、イギリスは資金を必要とする企業は多く、貸付先には困っていないのですが、銀行の預金残高が少なく、社会に十分なお金が回らないということでした。リーマンショック後は、その傾向はより顕著になっています。ロイズ銀行では、ワールドワイドに資金調達するよう大号令が下ったのですが、私も日本支店に勤務し、多くの機関投資家から資金調達をできる可能性があるのか、ヒアリングをして回りました。

内藤 日本だけを見ると資金はダブついているような印象を受けますが、世界を見渡すと逆だと気付いたわけですね。銀行としては貸付先があるのに、原資となる預金が集まらないという。

杉山 支店の経営陣とディスカッションを行いながら気付いたのが、「日本の余っているお金を必要な国に持っていけばいい」ということでした。例えば日本の銀行でも低金利の最中、金利1%台の預金を販売したら、1兆円という大きな資金を集められたというケースがありますから、出資者にメリットがある商品さえ用意できれば、資金調達は不可能ではありません。結局ロイズ銀行ではこのプランを実現できそうになかったので、2012年に入り、自分で銀行を設立してしまおうと考えるようになりました。

内藤忍

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