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「アートフェア東京」北島輝一
貨幣の価値を担保するのがアート

100万円未満の作品だけを集めたコーナーも

E:2005年から10年以上続くアートフェア東京ですが、変化の手応えを感じましたか?

北島:世界は消費社会が終わって、次の段階に入る局面に来ていると思います。そんな時代の価値の源泉のひとつがアートだろうと考えています。日本は消費社会にフィットしていたので脱するのが遅れているように感じますが、だんだん世界の流行に追いついてきているのかなと。アートフェア東京の売上を見ると、私が携わった2012年は3億円に満たなかったけれど、2014年には10億円近くの売上を記録しています。

北島氏

E:わずか2年で急成長していますね。

北島:背景には海外マーケットで60~70年代の日本作家が注目されていることや、円安の影響もあると思います。海外のコレクターも日本によく来てくれるようになりました。裏を返すと、それなりに歴史があってまだ発掘されていない作家や作品が日本にはあるということです。

E:今年のアートフェア東京の見所を教えてください。

北島:日本には古美術、近代美術、現代アートと続いていますが、コレクターの嗜好がわかれていると思います。たとえば、古美術買う人は古美術だけ。それをどうやってつなげるかという仕掛けを続けています。今年は「100KIN」という100万円未満の減価償却の対象になる作品(※3)を集めた企画展をやりますよ。

(※3)2015年の法改正により、減価償却の対象が20万円未満から100万円未満のアートに変更された。

E:「100KIN」というネーミングといい、減価償却というテーマといい、なかなか大胆な企画ですね。

北島:日本にはアートとお金を結びつけるのはよくない、という雰囲気がある中でみなさんに親しみやすくお金とアートを結びつける企画をやってみようかと。ミケランジェロがシスティーナ礼拝堂の天井画に裸の人をたくさん描いたけど、非難が殺到して後から服を描き足したように、スキャンダラスであることがアートなんです。もちろん、「100KIN」で販売するのは各ギャラリーが厳選した作品だけです。

エンリッチ編集部

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