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The Style Concierge

「アートフェア東京」來住尚彦
アートを核に日本の問題を解決

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テレビの世界からアートの世界に。音楽プロデューサーとして、エンターテインメントを核にした街づくりを手がけてきた來住尚彦氏は2015年からアートフェア東京のエグゼクティブ・プロデューサーをつとめている。アートをプラットフォームとしたアートフェア東京、そして、地方創生、インバウンド誘致、日本の文化発信など、多彩な企画を手がける氏のビジョンを聞いた。

ブロードウェイでは
エンタメの周りに道ができる

ENRICH(以下E):來住さんはテレビ業界出身とお聞きしました。前職ではどんなことをやってきたんですか?

來住:1年前までTBSで演出の仕事していました、その中で企画したのが、赤坂BLITZや赤坂サカスです。コンサートの演出をしていると、音響、照明、舞台などの会場の設備が弱いと面白いエンターテインメントが作れないんです。ということで考えて創ったのが赤坂BLITZ。GLAY、安室奈美恵、B’z、シャ乱QそしてSMAP。彼らがステージを創るとしたら、どんなファシリティが必要であるかと考えながら、ライブ空間「赤坂BLITZ」を作りました。それぞれメンバー数も音楽のカテゴリも違うし、ステージのサイズや高さ、必要な照明やスピーカーなども異なる。そういった環境をきっちり作ることで音楽を面白くしたい。それが赤坂BLITZの誕生につながっています。

そして、赤坂サカスではエンターテインメントを中心とした街づくりをやっていこうと考えました。ブロードウェイでは面白いエンタメがあると、半年後にはその近くにコーヒーショップができる。1年経つとレストランができる。そして2年経つと道になる。これがエンターテインメントの素晴らしさなんです。そこからエンターテインメントで道ではなく街を作りたいと考えて生まれたのが赤坂サカスです。

E:TBSで大きな実績を残してきたのに、なぜアートの世界に?

赤坂サカスでいろいろなイベントを手がけていた中、「フリーズ・アートフェア(※1)を赤坂サカスで出来ないか?」という話をいただいた事がありまして。最初は「フリーズ?」と(笑)。だから、フリーズ・アートフェアを見るためにロンドンまで行って、そこで「あ、これならぼくでもアート作品が作れるな」と思ったんです。

(※1)アートマガジン『frieze』が主催するロンドンのアートフェア。

友禅染と西陣染の行灯を作り
ジャパンエキスポで売る

E:いきなりスゴい自信ですね。

來住:そこから早速作品を作りました。作ったのは行灯。行灯ってそのまま英語の発音にすると「and on」。「そして続く」という意味なんです。日本のトラディショナルなものだけど、未来に向かって日本人を発信していると。友禅染と西陣染のふたつを作りフランスのジャパンエキスポで売ったんです。

E:はじめての作品がいきなり売れたということは、最初の自信は間違ってなかったということですね。

來住:50年やったら相当な作家になれる自身はあったけど(笑)、もっとスピーディに大きく世の中を変えられないかなとも感じました。そんなとき人に誘われてアートフェア東京を見に行ったんです。

E:そこから「作家」ではなく、「プロデューサー」としてアートの世界に関わることになったんですか?

來住:そうです。それまでアートフェア東京を運営していたのは、実行委員会だったんですが、今回から企画・制作のための「アート東京」という一般社団法人を立ち上げました。コミッティの方にご意見を賜り、僕が企画・制作そして営業を行うという組織です。

そして一番考えなくてはいけないのはアートに触れて、アートを買ってもらう人を集めることだったのです。では、どんな人をターゲットにするのか? それは「センスがあって、わがままで、ちょっとお金がある人」、つまり僕みたいな人です(笑)。この3拍子がないとダメ(笑)。

エンリッチ編集部

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