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組織のスリム化が発展につながる

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メンタルトレーナーの高畑好秀氏が、悩めるエンリッチにアドバイスする本コラム。意外な視点からの言葉に、思わずハッとさせられるかもしれません。今回のテーマは「組織のスリム化」です。

ビジネスのすべてを
内製化する必要はない

ビジネスが軌道に乗り発展段階に差し掛かると、組織を強化するために社員の補充をはじめ、メーカーであれば製造拠点や販路の拡大など、人材や設備への投資が必要になってきます。そうやって事業を大きく育てることを目の当たりにできるのは、経営者冥利に尽きることだと思います。

他方、ビジネスの拡大は様々なリスクも伴います。多く社員を抱えると人件費はかさみますし、彼らやその家族の生活も背負うことになりますから、本業以外のビジネスにも手を出さざるを得なくなるケースもあるでしょう。結果、ビジネスにブレが生じると経営者にとってはストレスかもしれません。設備投資をしたもののうまく回らず、負債ばかりがのしかかるといった事態も…。失敗を恐れてビジネスはできませんが、成長とリスクはセットになっているということです。

もちろん、組織に新たな風を取り入れることは重要です。経験や高いスキルを持つ人材を採用することでリフレッシュや活性化は図れますし、成長過程にあるベンチャー企業であれば、即戦力を中途採用することが生命線になることも。新卒を採用して一から育成すれば社内風土の醸成にひと役買うでしょうし、先輩社員の責任感も増すことでしょう。結束力だって強くなるかもしれません。これはアスリートの世界も同じことで、他チームから選手を迎え入れることで新たなノウハウや知見が得られるなど、組織を強化できる可能性は高いといえます。

ですが、先ほども申し上げた通り、組織の拡大にはリスクが伴い、スケールアップが目的だったのが、単なる「肥大化」になってしまう可能性もあります。

ある企業が、当初はサービス構築を外部のシステム会社に外注していたのに、内製化するといった話はよくあるパターン。自社でエンジニア部門を持てば開発のスピード、意に沿ったシステムを作りやすくなる、コストダウンといったメリットが見いだせますが、一方で業務フローがしっかりしていないと非効率に陥り、結果を急ぐあまり職場がブラック化するといった懸念も考えられます。経営者であれば自己実現も含め、時間を惜しまず働くことはできても、社員が同じとは限りません。この点のマネジメント、かじ取りは難しいところです。自分自身や部下に負荷をかけ過ぎてはメンタルに不調を及ぼしますし、当初の目的にブレやひずみを起こさせることもあります。

高畑好秀

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