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ロボット化時代を生き抜く知恵

ソフトバンクモバイルは2014年6月、人と対話することができるロボット「Pepper」を発表した。日本でもいよいよ本格的なロボット時代が到来することになる。

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家庭は実は超有望なロボット市場

Pepperは、人の声や表情を認識する機能を搭載しており、人間とスムーズにコミュニケーションを取れることを最大の特徴としてる。しかし、人とスムーズなコミュニケーションを取ること自体は、特に目新しい技術ではない。Pepperの注目すべき点は、機能ではなく、そのビジネス・モデルの方にある。

ソフトバンクは、Pepperのプログラミング仕様を公開している。つまり、誰でもPepperを制御するプログラムを作成することができるのだ。同社では、皆が作成したプログラムを公開して、世界中に配布するためのWebサイトも開設する予定だという。

これは、いわゆるオープン戦略と呼ばれているもので、あえて仕様を公開し、多くの人を巻き込み、一気にデファクトスタンダードを握ってしまおうというものである。こうした戦略をソフトバンクが採用するのは、ロボット市場として家庭用途を重視しているからにほかならない。

多くの人は「本当に家庭にロボットが普及するの?」と思うかもしれない。確かに、Pepperのような大きなロボットが、家庭やオフィスに入り、洗濯したり掃除したりするということにはならないだろう。

だが家庭用ロボットが必ずしもPepperのような形状になるとは限らない。ロボットの用途として大きな期待を寄せられているのが、スマホと連動した、あるいはスマホに代わる利用者とのインターフェースである。

つまり、家庭に存在するあらゆる電子機器をネットワーク上で統合し、利用者との窓口になることが期待されているのだ。通信会社であるソフトバンクがロボット分野に進出するのはこうした理由からだ。

すでに家庭にある電子機器の人工知能化はかなり進んできている。お掃除ロボットのルンバはすでに有名だし、最近では人工知能を持った大型家電製品も登場している。

LGが発売した最新の家電製品はLINEとつなげることができ、利用者と会話がすることが可能だ。「今、冷蔵庫に何があるの?」とLINEで聞くと、「ビールが2本あります」と返事をしてくれる。

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加谷珪一

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