『The Forest Barque』×『SAXIA』= 建築へのこだわり
竣工からおよそ半年が過ぎ、従業員の間でもその存在がすっかり根付いた、この多文化共生施設。多くを占めるホールは社員食堂として使っており、昼時になると敷地内で働く従業員が食事に訪れる。エントランスホールから入っていくと手洗いシンクがあり、そのままカウンターで食事を受け取れるのでスムーズだ。なお、厨房では専任のスタッフが、ホールでの食事だけではなく、点在する拠点に配送する弁当も調理している。

提供するメニューは和食や中華、洋食もあれば、矢橋グループにゆかりのあるベトナムの揚げ春巻きや漬物、タイからはガイヤーンなど、本格的なローカルフードも。調理方法を学ぶため、ベトナム各社のコックチームを日本に招き、日本の食堂メンバーに調理研修を行った。現在も海外出身の従業員からリクエストを募り、レクチャーを受けた上で提供している。

海外出身者からすると懐かしい味、その他の従業員にとってもグローバルな食文化を体験できる機会になっている。食事に使うのは、矢橋グループ内で育てた米や野菜で、農薬は不使用、有機肥料のみで栽培されている。

ホールにはステージもあり、会議や発表会など多目的に対応できる仕様。パーテーションで分割して使うことも可能だ。これまでもグループ従業員による業務改善大会、従業員の家族を招いたイベントなどに利用している。こういったスムーズな屋内動線や細かい仕様は、矢橋ホールディングスの要望を住友林業が丁寧にヒアリングし、一つひとつ形に落とし込んでいった結果だ。

ホールの向かいには、紅葉や山桜など四季を彩る木々が植えられた庭園が広がる。窓を眺めるとおのずと緑が目に映るので、リラックスにもなりそうだ。


「家族会や、今後予定している地域への開放により、小さなお子さんもたくさんやってくるでしょう。そうしたとき、おひさまのもと遊びまわれるスペースがほしいと考えたのです」と話すのは、2025年6月に矢橋ホールディングスの社長に就任した、矢橋龍樹氏だ。

ここに来て感じるのは、木質感を前面に押し出したことによる心地よい雰囲気、さらには歩くときのクッションの柔らかさ。「床材も木だからこそ自然に包まれたようになり、歩行中の衝撃も吸収してくれます。コンクリートの床だとこうならず、どんな人でもあたたかく迎える『SAXIA』の理念を体現しています」








