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バワ建築を巡る(前編) 
自然と一体化できる絶景ホテル5選

ビジネスマンのネクスト・ディスティネーションとして静かなブームを呼んでいるスリランカ。インド洋上に位置するこの島国には、トロピカル・モダニズムの第一人者としてアジアンリゾートを手掛けた建築家、ジェフリー・バワによる美学の詰まったホテルがある。世界のアートラバー憧れの”熱帯建築家”の理想郷。スリランカへは成田から直行便で約9時間半。スリは“光り輝く”、ランカは“島”。“光り輝く島”という意味を持ち、インド洋の真珠と呼ばれている。

ジェフリー・バワに魅了された建築家は多く、自然と融合する建築手法は世界中のリゾートに影響を与えている。そのひとつが、「アマンリゾーツ」。また、世界初の「インフィニティ・プール」を生み出したのもバワである。

Bawa
(C)Bawa Foundation

ジェフリー・バワの母親はスリランカ人、父親はイギリス人。首都コロンボの裕福な家庭で育つ。英国に留学し、弁護士となるが、2年ほど世界を放浪したあと、スリランカに自分の理想郷を作りたいとの思いから 30代後半に英国にもどり、建築を学んだ。

内部から外部に壁で仕切りを作る西洋建築を習得したが、その理論とは真逆の考え方で、建物内から外部に自然に繋がったデザインが最大の特徴。木や岩などを取り除かず、建築の一部として融合させる。ロビーやレストラン、庭などを自然と一体化させ、開放的な空間を創り上げる。ホテルの至るところにオブジェが飾られ、光や影もアートの一部だ。プールと海がつながるインフィニティ・プールは、バワ建築の多くのホテルに備えられている。

バワがはじめて作り上げた理想郷は、スリランカ南部の町ベンドゥータの「ルヌガンガ」。2003年に亡くなったバワは、敷地内の小高い丘に埋葬されている。

そんなジェフリー・バワ建築の魅力を存分に堪能できるリゾート5軒を紹介する。


1. ヘリタンス・カンダマラ
ジャングルを眺めながらバスタブに浸かる非日常の時間

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ジャングルの中に建てられ、世界遺産シギリヤロックをカンダラマ湖越しに眺められる絶景ホテル。大きな岩にホテルが吸い込まれるかのようなエントランスがバワらしい自然と建物の一体感を創り出している。窓の向こうには、生い茂る椰子。朝は野生動物たちの声で目覚める。バスタブからは、壮大なジャングルの眺め。「自然との融合」を最大限体感できる、バワ建築ならではの魅力に富んだ一番人気のホテルだ。

Heritance Kandalama
P.O Box 11, Heritance Kandalama, Sygiriya 21100 Sri Lanka


2. ジェットウィング・ライトハウス
彫刻に彩られた螺旋階段の先にある別世界

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エントランスには、彫刻、絵画、建築など多彩な才能をみせるアーティスト、ラキー・セナナヤケ作の「ポルトガルとの戦い」をモチーフとした圧巻の彫刻に縁取られた螺旋階段がある。その階段を上り切るとエメラルド色のインド洋が広がる。オープンエアーの広いテラスから眺めるのは、24時間変わり続ける海や森の色合い。インド洋と建築とが織りなす一体感は、自然と建築の融合を目指したバワ晩年の最高傑作である。


3. ヘリタンス・アフンガラ
インフィニティ・プール誕生のホテルでバワの真骨頂を満喫

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バワが最初に手がけた「インフィニティ・プール」を備えるホテル。ロビーからプールを貫きインド洋の水平線まで一望できるパノラマビューは壮大だ。水の中から眺めるサンセットはバワならではのファンタジー。インフィニティ・プールに配置された「ラブチェア」に座れば、建物とインド洋とのドラマチックな一体感に圧倒される。バワ建築の中でも特に完成度が高く、バワの真骨頂が満喫できる。

Heritance Kandalama
21100 Kandalama Kandalama Lake front


4. ジェットウィング・ラグーン
バワがスリランカで初めて設計した水に触れあえる空間

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バワがスリランカで初めて設計したホテルで、スリランカ初の観光客向けリゾートホテルとなる。空港から車で約30分の町、ニコンボにあるので、到着日や帰国日の宿泊に便利だ。インド洋とニゴンボラグーン挟まれた細長い半島に建てられ、両側に海の絶景を望むことができる。エントランスから続く100mものプールが圧巻。ゲストが水に触れあえる空間づくりを目指し、ラグーンに面して客室やレストランを配した。2012年にバワの愛弟子であるジャヤシンゲが改築、古代の治癒療法を専門とするアーユルヴェーダ スパなどのユニークでモダンな施設が備えられた。

Jetwing Lagoon
PAMUNUGAMA ROAD, THALAHENA,Negombo, 11504 Sri Lanka


5. ザ・ブルーウォーター
水辺と椰子の木のコントラストがバワ建築の真髄

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バワが残した最後の建築。ココナッツ畑だった場所に建てられ、敷地全体に茂る椰子は、切り倒されることなく、育ったそのままの位置で建物と自然に一体化している。水をモチーフにして造られたロビーや廊下の水面に映る椰子の木の影もデザインの一部。水辺と椰子の木のコントラストの美しさは、バワ建築の真髄といえる。スリランカ伝統のアロマオイル、ハーブ、スパイスを使った施術が体験できるスパもぜひ利用してみたい。

The Blue Water Hotel and Spa
Thalpitiya、Wadduwa, Sri Lanka


後編では、バワ建築の真髄を体感できる自らのために建てた理想郷を紹介する。


取材/文 山下美樹子

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エンリッチ編集部

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